2002 Fiscal Year Annual Research Report
地中レーダーによる溶岩流の構造探査と噴出率及びその時間変化の一般的推定手法の開発
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14780369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 英昭 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00312992)
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Keywords | 溶岩流 / 溶岩チューブ / 噴出率 / 地中レーダー / インフレーション |
Research Abstract |
この研究は溶岩流の内部構造、特に溶岩チューブに着目し、その構造から噴出率を求める一般的な手法の開発を目的としている。特にインフレーションと呼ばれる流動機構に関連して、(1)熱く流動的な溶岩がインフレーション後も流動を続けることで内部に空洞が形成されるが、これが後に溶岩チューブとして観察されること、(2)溶岩の圧縮性は非常に小さく、チューブ内の流動は基本的にはポワズイユ流れと近似できること、(3)冷却殻を考慮した研究代表者の新しい理論及び実験(Miyamoto et al.,2001)は、溶岩チューブの複雑な3次元的構造が、噴出率に応じた径と分岐幅を持つことを強く示唆していること、という3点に注目した。 しかし溶岩チューブは、特殊な場合を除けば天井部が崩落しない限り発見されないため、その構造を科学的に調査した例はほとんど無い。そこで天井部の岩盤も透過する電磁波を用いて地中を観察する、地中レーダー(またはレーダーサウンディング)と呼ばれる探査方法を検討した。地中レーダーは火山科学でほとんど利用された事が無いが、空洞(溶岩チューブ)は比誘電率が大きく異なるため、その深度や形状まで容易に探査できると考えられる。そこで本年度は、いわゆるレーダー方程式を用いた解析的手法により、溶岩チューブの探知を特に空中から広範囲を効率よく調査するために必要となる条件を見積もった。 地中レーダーとして一般的なモノパルスレーダーは、探査深度や分解能の意味で都合が悪い。そこで直線状FM変調を検討した。また受信機を遅延相関方式とすることで、遮断周波数が低い積分器を用いることができ、高レンジ分解能と高S/Nが両立できる。溶岩チューブの直径を計測するには、少なくとも1m以下のレンジ分解能と数m以下の水平分解能が必要となる。周波数帯域を300-900MHz、パルス幅20μ秒、送信電力1Wの条件で、高度約100mから計測可能である事が明らかになった。ただしアンテナの半値幅によって、地表面からのノイズが多きくなり、上の見積もりに影響を与える可能性があり、この件は引き続き検討している。 尚、研究代表者の海外派遣の決定を受け、初年度途中で研究費補助金を辞退する事となった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Miyamoto, H., Haruyama, J., Rokugawa, S., Onishi, K., Toshioka, T., Koshinuma, J., Saito, J.: "A study of the ground penetrating radar for future lunar landing exploration"23rd ISTS proc. (in press). (2002)
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[Publications] Miyamoto, H., Haruyama, J., Nishibori, T., Rokugawa, S.: "Detecting lunar lava tubes by a landing mission with the Ground Penetrating Radar"Eos Trans. AGU. 83(47). P71A-0439 (2002)
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[Publications] 宮本英昭, 六川修一, 春山純一: "地中レーダーを用いた月面火成地形探査:富士山青木が原溶岩流溶岩チューブにおける検討"地球惑星科学関連学会2002年度合同大会予稿集. P071-015 (2002)