2002 Fiscal Year Annual Research Report
富士火山の火砕流堆積物の発生・堆積機構に関する研究
Project/Area Number |
14780370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉本 充宏 東京大学, 地震研究所, 助手 (20334287)
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Keywords | 富士山 / 火砕流 / 玄武岩質 / 災害 |
Research Abstract |
今年度は富士火山の北から北東山麓を中心に詳細な野外調査を行った。野外調査では火砕流堆積物の堆積構造,構成物,岩石の産状,岩相の変化を詳細に記載し,同一給源および噴火から噴出した火砕流堆積物を対比した.またそれらの火砕流堆積物の追跡調査を行うことにより分布,規模を明らかにした。その結果火砕流は少なくとも特徴的な2つのタイプの岩相を示すことを確認した. 一つ目のタイプの火砕流堆積物は比較的発砲の良いスコリアから構成され,外来岩片が少なく,細粒物に乏しい特徴を持つ.特に沢の上流部において球形火山弾ないし,含芯火山弾を特徴的に含み,溶結している部分もある.最下部には淘汰の良い火砕サージ堆積物が確認できる.もう一方のタイプの火砕流堆積物は本質物質が緻密からやや発砲した岩片から構成され,紡錘状火山弾を含み,外来岩片を多く含む特徴を持つ.それぞれの火砕流堆積物に含まれる本質物質はカンラン石玄武岩であり,SiO2が51〜52wt%である.両火砕流の本質物質の全岩主成分化学組成および微量元素組成は明らかな組成差を示さない.前者のタイプの火砕流堆積物はバイモーダルな粒度分布を示し,一般的な安山岩から流紋岩質の火砕流堆積物に比べ細粒物に乏しい特徴を持つ.火砕流と同時期の降下火砕物や溶岩が認められず,分布が谷沿いに限られること,火砕丘によく見られる球形火山弾や含芯火山弾を特徴的に含むことなどから「火砕丘の部分崩壊」などの一般的な安山岩質から流紋岩質の火砕流とは異なる発生・堆積機構である可能性が高い.また後者の方は外来岩片が多量に含まれることから,小規模な山体崩壊である可能性が高い.
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