2002 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉用低放射化バナジウム合金溶接継手の時効効果
Project/Area Number |
14780397
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
長坂 琢也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助手 (40311203)
|
Keywords | 接合 / 高純度化 / YAGレーザ / 原子炉材料 / 高融点金属 |
Research Abstract |
平成14年度は、大学共通材料である高純度低放射化V-4Cr-4Ti合金NIFS-HEATの溶接継手を作製し、機械特性の評価及び溶接部の不純物の挙動を解析した。また、短時間における時効の影響も一部評価を終えた。V合金は高温で非常に活性で、空気中で溶接すると窒素、酸素など侵入型不純物を吸収して著しく脆化する。そこで、本研究では大気と遮断して溶接することが可能な雰囲気ボックスを開発した。雰囲気ボックスの中に高純度アルゴンを流し、さらに溶接する板材近くに配置したノズルから噴出されるシールドガスにも高純度アルゴンを用いた。雰囲気ボックス内で溶接することにより、窒素、酸素の汚染を40wppm以下に抑えることに成功した。種々の溶接条件で溶接部材を作製し、ビード断面形状から特徴的なものを選んで、引張、曲げ、衝撃特性を評価したところ、いずれも良好で、V合金は窒素、酸素汚染を避ければ溶接性が良いことが明らかとなった。中でも入熱を抑えた部材で衝撃特性が改善されることが明らかとなった。溶接部の硬さを評価したところ、溶接金属及び熱影響部で硬化が認められた。組織観察によると、この硬化は、溶接前に存在していたTi-C,N,O析出物が溶接によって分解固溶され、マトリクスのC,N,O濃度が上がることにより固溶硬化がおきたためであると考えられる。この硬化量と組織変化は、別途作製したV-4Cr-4Tiモデル合金の熱処理による硬化、組織変化と対応させて理解することができた。時効熱処理を行った場合、10hrまでの熱処理では溶接金属で微細な再析出とそれによる硬化が起こることが明らかになった。以上の成果の一部は、国内学会及び米国で行われた第15回核融合エネルギー技術学会で発表し、他研究者との意見交換を行った。
|