2002 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理分子動力学計算による3価および4価アクチノイドイオンの水和構造解明
Project/Area Number |
14780403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津島 悟 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80312990)
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Keywords | トリウム / 分子動力学法 / 第一原理 / 4価 / アクチノイド |
Research Abstract |
4価トリウムイオンのような高い電荷を有するイオンにおいては、第一水和圏の水分子と強く分極を起こす。しかし分極の効果を定量的に取り込んで分子動力学(MD)計算を行うのは容易ではない。本研究では、「水和イオンモデル」を用いて、Th^<4+>イオンのMD計算を行った。このモデルでは、Th^<4+>イオンの代わりに[Th(H_2O)_9]^<4+>をカチオンとして取り扱う。本研究では、第二水和圏の水分子の数、水和水交換メカニズム、および水分子の交換速度定数などを調べた。さらに、それらに及ぼすCl^-濃度や温度の影響を調べた。MD計算にはAMBER6.0プログラムを用いた。[Th(H_2O)_9]^<4+>の電荷の計算にはESP法を用いた。Thと第一水和圏の水分子のHのLJパラメータは0とし、第一水和圏の水分子の0のLJパラメータはフィッティングにより決めた。MD計算の際に、溶質(ここでは[Th(H_2O)_9]^<4+>)の位置を固定しておこなった。周期境界条件を用い、0.2fsきざみで1atmの条件で1500psのMDシミュレーションを行った。いくつかの異なるCl^-濃度、および異なる温度でのMDシミュレーションを行った。Cl^-濃農が0.39Mから4.57Mにあがると、配位するCl^-の数が0.0から5.6にと増加し、また配位する0の数も15.7へと減少する。このことから、Cl^-濃度が高くなると、Cl^-分子が水分子と置き換わり、しかし全体の配位数はほぼ変わらないものと考えられる。第二水和圏の配位数は19〜21の値を取るものと考えられる。温度の効果についても調べた。50℃および75℃について、シミュレーションを行った。その結果、温度が上昇すると、配位数が減少する傾向が明確に見られた。さらには、温度が高い条件では、Cl^-濃度が低いうちでもCl^-が第二水和圏に入り込むことが明らかにされた。
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Research Products
(1 results)