2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠井 亮秀 京都大学, 農学研究科, 助教授 (80263127)
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Keywords | 二枚貝 / 有機物 / 干潟 / 内湾環境 / 安定同位体比 / 河口域 |
Research Abstract |
2003年5月〜2004年2月に計10回,揖斐川及び木曽川の河口域から上流12kmの範囲で観測を行った.各測点においてヤマトシジミ、河川水を採取すると共に,水温,塩分を測定した.採取したヤマトシジミと河川水中の粒状有機物を,炭素,窒素安定同位体比分析に供した.得られた結果は以下のとおりである. (1)揖斐川ヤマトシジミの安定同位体比はδ^<13>C=-27.35±1.98‰,δ^<15>N=9.77±1.23‰,一方木曽川ではδ^<13>C=-24.22±1.37‰,δ^<15>N=8.49±1.50‰であった.同位体比に明瞭な季節変動はみられなかった. (2)水中有機物の安定同位体比は河川ごとに異なる傾向を示し,揖斐川ではδ^<13>Cが-29.81〜-24.30‰,δ^<15>Nが4.04〜6.18‰,木曽川ではδ^<13>Cが-26.92〜-26.03‰,δ^<15>Nが4.49〜6.29‰の範囲で変動した.水中有機物の安定同位体比の空間変化とヤマトシジミの安定同位体比の空間変化は,よく対応していた. (3)水中有機物には現存量で85〜90%,炭素量で80%,窒素量で50〜80%の陸上有機物が含まれていた.また,ヤマトシジミの餌資源に占める陸上有機物の割合は,現存量で80〜90%,炭素量で70〜80%,窒素量で50〜70%であった.ヤマトシジミは餌料選択をあまり行わず,生息域の水中有機物をそのまま取り込む傾向があることが示唆された. (4)揖斐川,木曽川に負荷される炭素量は年間3,538トン,窒素量は年間533トンであった.これに対し,ヤマトシジミの漁獲により除去される陸上炭素量は年間14.4トン,陸上窒素量は年間2.6トンと見積もられた.陸上炭素の約0.4%,陸上窒素の約0.5%がヤマトシジミ漁獲により除去される.
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Research Products
(1 results)