2003 Fiscal Year Annual Research Report
大気環境における塩素化多環芳香族炭化水素の動態解析ならびに生態影響評価
Project/Area Number |
14780416
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
大浦 健 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (60315851)
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Keywords | 塩素化多環芳香族炭化水素 / Cl-PAHs / 光分解 / 変異原性 / umuアッセイ |
Research Abstract |
本年度は、塩素化多環芳香族類(Cl-PAHs)の光安定性ならびに変異原性について精力的に研究を実施した。まず、Cl-PAHsの光安定性に関しては、大気微小粒子表面組成をモデルにした溶液に、昨年度合成し構造決定された12種類のCl-PAHsをそれぞれ溶解させ、光照射を行うことで評価した。その結果、いずれのCl-PAHsも一次反応的に光分解が進行し、その分解速度定数を比較すると、Cl-PAHsの種類によっては約50倍の違いが見られた。さらに、GC-MSによってCl-PAHsの光分解生成物を検索したところ、4種類のCl-Phenantherene、ならびにCl-Benz[a]anthraceneにおいて、いくつかの酸化された化合物を推定することが出来た。この結果より、Cl-PAHsは光照射を受けると、まず脱塩素化が進行し、次いで溶存酸素による酸化反応で分解が進行すると推測した。 Cl-PAHsの変異原性に関しては、DNA修復機構であるSOS応答を利用したumuアッセイにて評価した。現在まで、2,3のCl-PAHsに限られているが、代謝活性物質(S9)を添加することにより、SOS応答があることを確認した。現在、残りのCl-PAHsについても検討を行なっている。 さらに、今年度は昨年度に引き続き、本学に保存していた過去10年間の大気粉塵試料からCl-PAHs濃度を分析した。この結果、Cl-benzo[a]pyreneを除いたCl-PAHsは冬季に高濃度となり、夏季に低濃度となる傾向が認められた。
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Research Products
(1 results)