2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780421
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
辻村 茂男 滋賀県琵琶湖研究所, 研究企画部門, 研究員 (60300969)
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Keywords | アオコ / ラン藻類 / 個体群動態 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
滋賀県余呉湖最深部において、鉛直方向2m毎に6点から月2回の頻度で採水を行い、植物プランクトン各種の現存量ならびに栄養塩濃度を測定した。また採水試料の一部を用いてアルカリフォスファターゼ活性の測定を実施した。その結果、春から秋にかけては、多くの植物プランクトンにとって全循環が起きる直前の一時期を除いて栄養塩制限はあまりいないことが明らかとなった。成層期の栄養供給の要因として琵琶湖からの揚水と間欠式曝気装置による底層水の表層水への送り込みが考えられ、これらの影響については今後検討したい。一方、冬から春にかけてはリン制限下で、珪藻が増殖しアルカリフォスファターゼ活性が高まった。今後は培養実験で個々の植物プランクトンのアルカリフォスファターゼ活性についても測定したい。 定期的なモニタリング結果に基づき、Microcystisの対数増殖期、停滞期、衰退期と想定できる期間に1週間の現地集中調査を実施した。なお2002年秋-冬にはAphanizomenonの増殖が見られなかったため、集中調査はMicrocystisについてのみとなった。集中調査期間中は、定期調査同様の水質測定の他に、その水域環境をより理解するため水温・照度センサロガーを設置し連続データを取得した。8時間毎にMicrocystisをパスツールピペットにより実体顕微鏡下で集め、細胞内炭素・窒素・リン含量を測定した。また細胞分裂頻度を観察するため、2時間毎に1回の採水を行い、超音波洗浄機によりMicrocystis群体をバラバラにした後、分裂中の細胞の比率を求め、分裂頻度の変化から増殖速度を算出した。現時点では、ようやく分析・計数結果が出そろった状態であり、これから細胞内元素含量と増殖速度の関係を、光、温度ならびに外部栄養塩濃度のデータと照らし合わせて、詳細に検討していく予定である。
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