2004 Fiscal Year Annual Research Report
パイオニア植物が撹乱跡地に侵入・定着する際の共生菌類の役割の解明
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14780437
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
橋本 靖 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (40332481)
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Keywords | 亜高山帯針葉樹 / 外生菌根 / 攪乱跡地 / 共生菌 / クロマツ / 海岸林 / エゾマツ / トドマツ |
Research Abstract |
パイオニア植物が撹乱跡地に侵入・定着する際の共生菌類の役割を明らかにするため、北海道襟裳岬でクロマツに、植林後どのような菌類が感染し、時間と共に変化するのかを明らかにした。また、北海道亜高山帯針葉樹林地域の撹乱跡地に成立した、エゾマツ、トドマツの実生に感染している菌類についても、どのような菌が感染しているか調べると共に、純粋分離を行い接種試験からその菌の働きを明らかにした。 襟裳岬の調査は、植林後1年後・3〜5年後・10年後の3つの齢のクロマツの区画からクロマツの根を採取し、菌根の形成率と形態観察と分子生物学的手法による菌根のタイプ分けを行った。また、植林が行われる前の土壌中の菌根菌を調べるため、植林の行われる前の区画から土壌を採取し実生を植えつけ、菌根形成率の測定と菌根のタイプ分けを行った。その結果、植林直後は、苗畑から苗木とともに持ち込まれた種との共生関係が優勢で、クロマツの襟裳岬への初期の定着に関係している可能性があった。そして、植林後数年で植林地周辺から、何らかの形で感染源が侵入していると考えられる種に変化していると思われた。さらに、人工クロマツ林が森林として成立し、有機物の多い黒色土壌の層ができる約50年後には種構成はさらに変化していると考えられた。 亜高山帯針葉樹林の調査では、自然に成立している林内の実生と、人為的に植え付けられた実生の両方を対象にした。その結果、これら両者の菌根菌は全く異なった菌が感染しており、自然林では日本国内でこれまで記録の無かったTylospora属の菌が特異的に優占して感染していることが明らかとなった。一方、人為的に植えられた実生では、一般的に樹木の菌根菌の多くを占める担子菌類ではなく、子嚢菌類による菌根が多くを占めていた。これら菌根菌を実験条件下で実生に接種した結果、Tylosporaなど自然条件で見られた菌類は、実生生長を著しく良くした一方で、人為条件で見られた子嚢菌に関しては、目立った効果を示すことは無かった。
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Research Products
(1 results)