2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質を用いた泡沫分離法によるエストロゲン様物質の除去に関する研究
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14780444
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鈴木 祥広 宮崎大学, 工学部, 助手 (90264366)
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Keywords | エストロゲン / 泡沫分離法 / 下水処理 / 活性炭吸着 / 凝集剤 / カゼイン |
Research Abstract |
下水からエストロゲンを効率的に除去できる処理プロセスを導入することができれば,環境への環境ホルモンの負荷削減に大きく寄与できる。本研究の目的は,タンパク質を用いた本泡沫分離法によるエストロゲンの物理化学的処理について検討し,エストロゲンの除去能を明らかとするとともに,都市下水からのエストロゲン除去プロセスとしての適用の可能性を検討することであった。本研究で得られた知見を以下にまとめる。 流入下水の総エストロゲンのうち,約95%が溶解性エストロゲンとして存在し,濁質の除去を目的とした従来の泡沫分離プロセスにおいて,溶解性エストロゲンの除去は困難であった。そこで,前処理プロセスとして,粉末活性炭注入の効果について検討した。エストロゲンは,下水に含まれる他の溶解成分(E260,色度,DOC)と比較して,活性炭に対する吸着性が著しく高かった。前段に粉末活性炭を注入することにより,凝集・泡沫分離処理において,ESの除去率が飛躍的に向上することが明らかとなった。本法の注薬条件を活性炭注入率50mg/L,凝集剤注入率30mg-Fe/L,カゼイン注入率50mg/Lとした場合,濁度とESの除去率の平均は,それぞれ99%(処理水濁度1度以下)と94%(処理水総エストロゲン濃度10ng/L以下)であった。 以上の結果から,活性炭吸着プロセスと凝集・泡沫分離プロセスを組み合わせた処理プロセスによって,都市下水に普遍的に混在するエストロゲンを短時間で効率的に除去できることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鈴木祥広, 丸山俊朗: "粉末活性炭を利用した凝集・泡沫分離法による都市下水からのエストロゲンの除去"水環境学会誌. 26・11. 757-763 (2003)
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[Publications] 鈴木祥広, 平良浩保 他5名: "都市排水路およびその合流先河川におけるエストロゲンの実態調査"水環境学会誌. 26・11. 791-795 (2003)
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[Publications] 鈴木祥浩, 丸山俊朗, 河添智: "PACとカゼインを併用した凝集・泡沫分離法による微細藻類の回収除去"水環境学会誌. 25・5. 297-302 (2002)
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[Publications] 鈴木祥広, 丸山俊朗: "カゼインと数種類の界面活性剤を用いた場合における凝集・泡沫分離法の処理性比較"水環境学会誌. 25・8. 477-483 (2002)
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[Publications] Suzuki, Y., Maruyama, T., et al.: "Removal of suspended substances by coagulation and foam separation from municipal wastewater"Water Science and Technology. 46・11-12. 183-188 (2002)
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[Publications] Suzuki, Y., Maruyama, T.: "Removal of suspended solids by coagulation and foam separation using surface-active protein"Water Research. 36・9. 2195-2204 (2002)