2004 Fiscal Year Annual Research Report
固相に吸着した多環芳香族炭化水素の微生物による輸送・分解特性の評価
Project/Area Number |
14780445
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
宮田 直幸 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (20285191)
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / PAH / PAH分解菌 / ピレン / フェナントレン / Mycobacterium |
Research Abstract |
前年度までにオイル汚染土壌より分離した多環芳香族炭化水素(PAH)分解菌PhD1-3y株、PhD1-3w株、B3株およびD4株に関して、16S rRNA遺伝子配列(1368〜1434bp)の解析を行った。データベースでの相同性検索の結果、PhD1-3y株、PhD1-3w株およびD4株はα-プロテオバクテリアに属することがわかった。PhD1-3y株とD4株はXanthobacter属細菌と98〜100%の相同性が、PhD1-3w株はStarkeya属細菌と99%の相同性が示されたことから、各々Xanthobacter spp.、Starkeya sp.と同定した。一方、B3株はγ-プロテオバクテリアに属し、未分離クローン1つ(油田の微生物群集由来)と99%以上の相同性が認められたが、既知の細菌の中では最も相同性の高かったXanthomonas属細菌でも97%以下の相同性しか認められなかった。このことから、B3株は新属の細菌である可能性があり、新規性の高いPAH分解菌であると考えられた。他の3菌株はナフタレンとフェナントレンを分解するがピレンを分解しない。一方、B3株はナフタレン、フェナントレン、ピレンの分解能を併せもつ。前年度までの検討で明らかにされた高親和性のPAH取り込み機構を有する分解菌Mycobacterium sp. RJGII-135株とともに、B3株は土壌等の固相中で残留し易い高分子PAHの分解除去に有効であると考えられる。
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