2002 Fiscal Year Annual Research Report
雑草を利用した環境修復技術の実用化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14780446
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 祐一郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (50322368)
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Keywords | 環境修復 / 雑草 |
Research Abstract |
高等植物,とくに雑草性を有する野生植物を用いた環境修復技術(ファイトレメディエーシヨン)の実用化に向けた基礎研究として,以下の項目を実施した。 1)タデ科イヌタデ属の雑草には,重金属汚染環境下で生育するものがあり,環境修復の素材として有望である。しかし,イヌタデ属雑草では分類学的な整理が終わっておらず,種や種内群の実体が明らかになっていない。そこで,分子生物学的手法を用いてイヌタデ属雑草の分類学的な再検討を行った。今年度は葉緑体DNAの変異を用いて種間の系統関係を解析した。さらに有効な分子マーカーを開発し,種内変異を調査し,環境修復に関わる形質との関連を調査する予定である。 2)水辺の植物群落の復元などにおいて自然修復措置の素材として注目されている水生雑草であるミクリ属植物について,環境修復を効率よく進めるために必要な生活史や生育環境についての基礎的な情報を得るため,ミクリ属の3種を同一環境下で栽培し,根茎断片による分布拡大や根茎によるクローン成長に関する形質を調査した。ミクリ属3種は,それぞれ異なった根茎伸長戦略を持つことが明らかとなった。環境修復ではこのような戦略を反映した計画が望まれる。 3)トチカガミ科の一年生沈水植物である水田雑草スブタの種子発芽や繁殖などの生活史は伝統的水田管理の様式に適応しており,スブタの発芽率や生長がイネの共存下で良くなる現象や水質悪化にともなう生長阻害が観察されている。そこでスブタを水田生態系の環境指標種とする可能性を検討するために,スブタの生育とイネとの関係を水質の変化において調査した。イネとスブタの混植条件下で両種の良好な生育と水質がみとめられた。 これらの成果は,平成15年4月に開催される日本雑草学会第42回大会において発表する。
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