2003 Fiscal Year Annual Research Report
複数基質を持つ酵素を阻害する-二基質結合型シアル酸転移酵素阻害剤の設計と開発
Project/Area Number |
14780457
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和泉 雅之 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (80332641)
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Keywords | シアル酸転移酵素 / 酵素阻害剤 / 二気質結合阻害剤 / CMP-シアル酸 / C-エチルホスホン酸エステル / 蛍光ラベル / N-アセチルラクトサミン / HPLCアッセイ |
Research Abstract |
本研究の目標は、シアル酸転移酵素に対する二基質結合型阻害剤の設計、合成およびその活性の測定である。昨年度は、供与体型阻害剤としてCMP-シアル酸のグリコシルリン酸エステル部位をC-エチルホスホン酸エステルで置換した化合物、それと受容体であるガラクトースをリン酸ジエステルで共有結合させた二基質結合型阻害剤、およびその部分構造を有する5種類の阻害剤候補の合成ルートを確立した。本年度は、候補化合物のシアル酸転移酵素阻害活性を測定し、設計のストラテジーを検証した。 昨年度合成した5種の候補化合物のシアル酸転移酵素阻害活性を、蛍光ラベルしたN-アセチルラクトサミンを受容体とするHPLCを用いたアッセイで測定した。アッセイは既知の逆相カラムを用いた方法で行った。より迅速なアッセイ法の開発を目指し、イオン交換カートリッジの利用を検討したが良い結果は得られなかった。酵素阻害活性は、5種の候補化合物を特異性の異なる2種のシアル酸転移酵素に対して測定した。その結果、供与体型のCMP-シアル酸のグリコシルリン酸エステル部位をC-エチルホスホン酸エステルで置換した化合物のみが有効な阻害活性を示し、残念ながら二基質結合型化合物は非常に弱い活性しか示さなかった。この原因は、供与体部分をミミックしたガラクトースの親和性が足りなかったこと、およびシアル酸のカルボン酸をミミックしたリン酸の位置が良くなかったことであると考えている。なお、阻害活性を示した化合物は、α2,3-シアル酸転移酵素をα2,6-シアル酸転移酵素より約6.5倍強く阻害した。この研究成果は、第24回日本糖質学会年会で発表した。
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