2002 Fiscal Year Annual Research Report
好中球活性酸素発生系におけるp47phoxによる活性制卸に関する構造生物学的研究
Project/Area Number |
14780469
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小椋 賢治 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50270682)
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Keywords | 好中球 / 活性酸素 / 核磁気共鳴分光法 / SH3ドメイン / 立体構造 |
Research Abstract |
今年度は,好中球活性酸素発生系の活性型に対応する,p47^<phox>のタンデムSH3ドメインとp22^<phox>由来PRRペプチド複合体の立体構造解析に着手した. p47^<phox>タンデムSH3ドメインに対する結合に関与するp22^<phox>のアミノ酸領域を決定するため,PRR領域を含む14〜30残基からなる数種の合成ペプチドを入手し,核磁気共鳴分光法の滴定実験により,p22^<phox>の必須領域を決定した.その結果,p47^<phox>タンデムSH3ドメインはp22^<phox>のPRR領域だけでなく,そのC末端側の塩基性に富む領域も認識していることがわかった.最適化されたp22^<phox>PRRペプチドとp47^<phox>タンデムSH3ドメインの結合能を蛍光スペクトル分光法により,測定した.その数値はK_d=500nMであった.この結合能の強さは,SH3ドメインとしては極めて異例であり,この分子認識機構のユニークさを示している. p47^<phox>タンデムSH3ドメイン側の,p22^<phox>結合領域を決定するため,核磁気共鳴分光法の交差飽和実験をおこなった.タンデムSH3ドメイン測定試料は,^<15>Nおよび^2Hにより均一同位体標識をおこなった.交蓄飽和実験の結果から,タンデムSH3ドメインのふたつのドメイン両者がp22^<phox>PRRペプチドを結合しており,その結合部位は般的なSH3によるリガンド認識部位とよく一致することがわかった. p47^<phox>タンデムSH3ドメインとp22^<phox>PRRペプチドの複合体の立体構造決定に着手したp22^<phox>PRRペプチドはGST融合蛋白賓として発現させ,^<13>Cおよび^<15>N均一同位体標識ペプチドとして精製した.複合体試料にて,核磁気共鳴スペクトルを測定した.NOESYスペクトル由来の水素原子間距離情報に基づき,複合体の立体構造をモデリングした.その結果,p47^<phox>タンデムSH3ドメインの両ドメインがコンパクトな形状をとってp22^<phox>PRRペプチドを挟むような立体構造をもつことがわかった.
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