2002 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素還元酵素の活性中心構造と触媒反応機構の解明
Project/Area Number |
14780487
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
片岡 邦重 金沢大学, 理学部, 講師 (40252712)
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Keywords | 一酸化窒素還元酵素 / マルチヘムタンパク質 / 呼吸系膜エネルギー装置 / 異種発現系 |
Research Abstract |
脱窒菌Palacoccus halodenitrificans由来の膜結合性マルチヘム型一酸化窒素還元酵素(NOR)は1分子のc型ヘムを含む低分子量のNorCサブユニットと、2分子のb型ヘムと非ヘム鉄を持つ高分子量のNorBサブユニットからなるマルチヘムタンパク質である。本研究では大腸菌JCB7120株をホストに用い、嫌気培養によりc型ヘムを含むNorCサブユニットの大腸菌内高発現系の構築を試みた。NorCのN末端膜アンカーヘリックスを削除し、脱窒菌A. xylosoxidansの低分子量ブルー銅タンパク質であるアズリンのペリプラズム移行シグナルを付加したNorC可溶性ドメイン(NorC^*)をペリプラズム画分に高発現させた。次にNorC^*をイオン交換およびゲルろ過クロマトグラフィーを用いて均一に精製し、その分光学的性質および電気化学的性質を検討した。精製NorC^*はN末端アミノ酸配列解析の結果、設計したN末端より9残基短くなっており、細胞膜透過時にプロセシングを受けていると考えられる。吸収スペクトルでは酸化型で524nmにβ吸収帯、411nmにγ(ソーレ)吸収帯が、還元型では551,522nmにα,β吸収帯、416nmにソーレ帯が観測され、これらはNORホロ酵素の低スピンヘムcの吸収帯とよく一致していた。また、MCDスペクトルでも野生型NORの低スピンヘムcの特徴をよく再現しており、さらに7KにおけるESRスペクトルではg=3.48にシグナルが現れ、野生型NORで帰属がわからなかった低スピンヘムcのシグナルの位置が明らかになった。NorC^*のC型ヘムの酸化還元電位はΔE_<1/2>=+191mVであり、NOR低スピンヘムcの+240mVと比較して49mV負側にシフトしていた。
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