2003 Fiscal Year Annual Research Report
Mcm10を中心とする高等真核細胞のDNA複製機構の解析
Project/Area Number |
14780498
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
泉 雅子 独立行政法人理化学研究所, ラジオアイソトープ技術室, 先任技師(研究職) (00280719)
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Keywords | 染色体複製 / Mcm10 / 細胞周期 / GFP |
Research Abstract |
Mcm10はDNA複製開始に必須の因子であり、ヒト培養細胞において、細胞周期に依存した細胞内局在の変化、リン酸化状態の変化、タンパク質レベルの変動が観察されている。 GFPタンパク質を融合したヒトMcm10の発現ベクターをHeLa細胞に導入し、融合タンパク質を安定に発現する細胞株を単離した。GFP-Mcm10は、S期初期には核内で多数のfociを形成した。また、中期には核小体の周辺と核の周辺部位に、後期には核小体に局在した。このGFP-Mcm10の局在変化は、PCNAやBrdUの取り込みにより見られるDNA複製のfociの局在変化に類似していた。しかし、GFP-Mcm10のパターンの変移は、複製のfociのパターンの変移よりも30分ほど早く起こっていた。このことは、GFP-Mcm10が複製開始の30分ほど前に複製部位にリクルートされること、また複製開始後に複製部位から遊離することを示唆している。以上の結果は、哺乳類細胞において、Mcm10が複製前複合体の活性化に関与していることを示唆している。 また、[35-S]標識メチオニンを用いて、Mcm10タンパク質のS期における半減期を調べたところ、約6時間であり、S期の長さとほぼ同様であることが明らかになった。S期においてはクロマチンに'結合していないフリーのMcm10は10%しかなく、なおかつMcm10の半減期は長いので、Mcm10はS期において効率よく次に複製されるべき部位にリクルートされていくことが示唆された。また、HeLa細胞内の、Mcm10タンパク量を定量したところ、S期において一細胞当たり300,000分子存在していることが明らかになった。これは、ゲノム上の複製開始点の数の約10倍であり、Mcm10がクロマチンの一部の領域にしか結合していないことを考慮すると、レプリコン当たり相当数のMcm10が結合していることが示唆された。
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[Publications] Honma, M., Izumi, M., Sakuraba, M., Tadokoro, S., Sakamoto, H., Wang, W., Yatagai, F., Hayashi, M.: "Deletion, rearrangement, and gene conversion ; genetic consequences of chromosomal double-strand breaks in human cells"Environmental and Molecular Mutagenesis. 42. 288-298 (2003)