2002 Fiscal Year Annual Research Report
転写伸長を制御する因子の立体構造及びRNAポリメラーゼとの相互作用の解析
Project/Area Number |
14780528
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杤尾 豪人 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助手 (70336593)
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Keywords | クロマチン / 転写 / 転写伸長反応 |
Research Abstract |
HDAg (Hepatitis Delta Antigen)全長(195アミノ酸残基)の一次元^1H NMRを測定したところ、各シグナルの線幅は単量体の分子量から予測される線幅よりも広く、会合或いは多量体化が起こっていることが示唆された。これを確認するために、分析超遠心法を用いて流体力学的性質を調べたところ、HDAgは見かけの分子量が六量体(140kDa)に相当することが分かり、溶液中では会合・多量体化が起こっていることが明らかになった。溶液NMRでは見かけの分子量が3万を超えると解析可能なNMRスペクトルを得ることが困難となる。HDAgの会合はN末端のロイシンジッパーモチーフによって引き起こされると思われるので、この部分を含まないコンストラクトを用いれば構造解析が効率的に行える。また、HDAgのRNAポリメラーゼ結合能はC末端側の70残基のみで再現されることが示されているので、ロイシンジッパーを除いたコンストラクトでもHDAgとRNAポリメラーゼとの相互作用を解析するという目的は損なわれないと考え、HDAg全長の前に、RNAポリメラーゼ結合領域の構造解析を行うことにした。 HDAg RNAポリメラーゼ結合領域(66残基)をN末端にGSTタグを持つ融合蛋白質として発現させ、この精製を試みた。融合蛋白質は発現するものの、大腸菌破砕後、大部分は不溶画分に存在し、可溶画分に得られたものは全体のおよそ10分の1以下であり、NMR測定に供するには十分な量が得られなかった。不溶画分から目的蛋白質を回収するために、不溶画分をグアニジン塩酸塩溶液や尿素溶液で可溶化し、急速希釈法を用いた巻き戻しを行うための条件を探索している。また、大腸菌の培養温度や培養時間、発現誘導のタイミングなどの条件の最適化も行っている。
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