2002 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母におけるテロメラーゼに依存しないテロメア維持機構の解析
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14780530
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Research Institution | Iwate College of Nursing |
Principal Investigator |
塚本 恭正 岩手看護短期大学, 看護学科, 講師 (80341725)
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Keywords | テロメア / DNA複製 / DNA修復 / 遺伝的組換え / 減数分裂 / 細胞周期 / 機能ドメイン / 遺伝子疾患 |
Research Abstract |
真核生物では遺伝情報は線状の染色体にコードされており、染色体末端を安定に維持する特殊な機構が存在している。本研究では遺伝的解析が容易な出芽酵母を用い、テロメアの維持機構に働いているXRS2遺伝子に注目し、その機能や構造と活性の相関について解析を進めた。 Xrs2蛋白質はMre11、Rad50蛋白質と複合体を形成し、Mre11の持つ種々の活性を制御することによって、テロメア複製、組換え、細胞周期チェックポイント制御を適時に、適所で、適合した機能で働かせていると考えた。そこでテロメア複製が欠損したxrs2変異株を単離する実験系を作製し、テロメア複製機能が欠損した変異株を多数単離した。そしてそれらの変異株の細胞周期チェックポイント制御が正常か、MMSに耐性を示すかで分類し、変異部位との関連について解析した。 上記の結果を基にしてXrs2のN末端、C末端、内部領域などを欠失させた種々の変異株を作製し、Xrs2の機能ドメインの同定を行い、C末端近くに存在するわずか32アミノ酸だけでDNA修復、細胞周期チェックポイント制御を行うことができる事が分かった。またテロメア複製にはこの32アミノ酸に加えて、さらにC末端側の短い領域が必要であり、減数分裂期組換えにおいては、この32アミノ酸とそれに続くN末端側の短い領域が関与していることが示唆された。またN末端近くの領域にも減数分裂期組換えに影響を与える領域が存在していた。そして調べた機能の全てに共通していた32アミノ酸の領域がMre11と相互作用する領域であることを明らかにした。 これらの解析を通してXrs2がMre11複合体において制御サブユニットとして働いていることが示唆され、現在はXrs2の各ドメインがMre11のどの酵素活性を調節しているか解析を進めている。
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