2002 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物の染色体複製開始から伸長反応への動的機構の解明
Project/Area Number |
14780531
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
上村 陽一郎 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (20321599)
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Keywords | 染色体DNA複製 / DNAポリメラーゼ / Dpb11 / Sld5 / Psf1 / Psf2 / Psf3 / GINS複合体 |
Research Abstract |
我々のグループは、出芽酵母のDpb11と遺伝学的に相互作用する複数のSld因子を同定している。Dpb11は染色体DNA複製開始の際に、DNAポリメラーゼε(Polε)を複製開始領域にローディングする機能をもつ。現在までの結果をまとめると、CdkはS期にSld2をリン酸化し、Dpb11-Sld2複合体形成を誘導する。さらに、Dpb11-Sld2はPolεと複合体を形成し、複製開始領域にロードされる。一方、Sld3、Cdc45(Sld4)は細胞周期を通して複合体を形成し、複製開始領域に結合しているMcmと相互作用する。PolεのローディングにはSld3-Cdc45が必須である。しかし、Dpb11-Sld2-Polεがどのような分子機構でSld3-Cdc45と相互作用するかは不明であった。今年度は、新規の遺伝子であるSLD5の解析を行った。SLD5と遺伝学的に相互作用する因子として、PSF1、2を同定した。Psf1の免疫沈降実験から、Sld5、Psf1、Psf2は、新規のPsf3と共に四者複合体を形成していた。そこで、この複合体をGINS複合体と命名した。GINSは細胞周期を通じて安定に存在する。更に、sld5の温度感受性変異では、この複合体の安定性が低下しており、GINSの複合体形成がこれらの機能にとって重要であることが示唆された。次に、SLD5、PSF1の温度感受性変異株で、複製開始頻度が低下していることを、2D電気泳動法で示した。このことからGINSが染色体DNA複製に関与していることが明らかとなった。染色体DNA複製の反応を大別すると、開始反応と伸長反応に分けることができる。開始反応は、Cdc45がクロマチンDNAと結合できるか否かで検定可能である。psf1-1細胞を非許容温度すると、このCdc45の結合がおこっておらず、少なくとも、GINSが複製開始反応に関与していることが示唆された。更に、Psf1と複製開始領域との結合を調べた結果、この因子はDpb11やPol2同様G1/S期に結合がみられた。また、Psf1とDpb11の複製開始領域の結合は相互の機能に依存していた。さらに、2-ハイブリッド法により、GINSはDpb11やSld3と相互作用することが示唆された。これらの結果から、GINSがPolεを複製開始領域にローディングする際に、Sld3-Cdc45とDpb11-Sld2-Polεを媒介している因子であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)