2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780535
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
荻野 桂子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (70342920)
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Keywords | 分裂酵母 / Cdc7キナーゼ / 減数分裂前DNA複製 / 減数分裂期組み換え / クロマチンリモデリング / DNA二重鎖切断(DSB) / チェックポイント / 第一および第二減数分裂 |
Research Abstract |
出芽酵母Cdc7キナーゼのホモログである分裂酵母Hsk1タンパク質は、体細胞増殖においてS期の開始と進行に必須なタンパク質であり、そのキナーゼ活性は制御サブユニットであるDfp1/Him1タンパク質により制御されている。hsk1温度感受性変異株(hsk1-89)二倍体株を窒素源飢餓により減数分裂過程へ誘導したところ、一核のままで停止していた。さらに詳細な解析を行うためpat1(ts)の株において温度シフトにより誘導される減数分裂過程を、hsk1-89変異株で検討したところ、野生型に比べて、減数分裂前DNA複製の開始と進行に遅れが生じ、一核のまま停止していた。また、減数分裂期組み換えに先立って形成されるDNA二重鎖切断(DSB)が観察されなかった。組み換えhotspotであるade6-M26部位におけるDNA二重鎖切断も観察されなかった。DSBは遅延したDNA複製が完了した後も観察されないので、複製との共役とは独立にDSB形成が,Hsk1により制御される可能性が示唆された。通常、減数分裂前DNA複製の間にリン酸化され、第一減数分裂期に消失するCdc2のTyr15のリン酸化は、hsk1-89では消失せず維持されたままであった。減数分裂期におけるhsk1-89のこれらの欠損は、チェックポイント関連遺伝子であるcds1およびchk1遺伝子を不活性化しても相補されず、唯一、hsk1^+cDNAを増産した時のみ相補された。一方、減数分裂期特異的に誘導される組み換え遺伝子rec6,7,8,12の発現およびhorsetail movementに関しては正常であった。さらに、ade6-M26部位においてDNA二重鎖切断に先立って起こるクロマチンの構造変換がhsk1-89では誘導されなかった。以上の結果は、Hsk1キナーゼが、減数分裂期DNA複製のみならず、減数分裂期組み換え過程にクロマチンリモデリングの制御を介して関与する可能性を示唆する。
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