2002 Fiscal Year Annual Research Report
M期開始に至るAkt/PKBを介したシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
14780540
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥村 英一 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (00323808)
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Keywords | 細胞周期 / M期開始 / シグナル伝達 / ヒトデ卵 / Akt / Cdc25 / Myt1 / Cdc2 |
Research Abstract |
細胞周期のM期への進行は、G2期にWee1/Myt1により不活化されたcyclin B・Cdc2複合体キナーゼが、Cdc25により活性化されることにより誘起されるが、その活性化の最初期段階については、多くの点が不明である。本研究では、ヒトデ卵母細胞を材料に、代表者がこれまでに見いだしたCdc25の初期リン酸化制御が、Myt1の初期リン酸化制御と同様に、Akt(PKB)により行われるかを明らかにすることを目的として、in vivoおよびin vitro両面から検討した。 本年度は、まず、Cdc25の初期リン酸化部位の決定を試み、本予算で購入した2次元電気泳動装置等を用いた解析により、Cdc25タンパク質の188番目のSer残基(S188)を同定した。この部位のリン酸化は、in vitroでは確かにAktにより起こり、さらに、Cdc25の活性に対しては、そのフォスファターゼ活性の上昇をもたらすことを見いだした。また、in vivoについては、S188のリン酸化を特異的に認識する抗体を作成して検討した結果、S188のリン酸化は、細胞内のAktの活性化に依存することが示された。また、in vivoで初期リン酸化を受けたCdc25の活性を調べた結果、こちらも約3倍に活性化しており、in vitroでの結果と一致した。これらの結果により、Aktは、Myt1の初期リン酸化制御だけでなく、Cdc25の初期リン酸化制御を並行して行うことにより、効果的にcyclin B・Cdc2の初期活性化を引き起こすことが示された。本研究により、細胞周期研究においては、M期開始の分子機構の解明に一歩近づけたと言え、また、シグナル伝達の研究においては、Aktの新規ターゲットとしてCdc25を同定し、その機能として、細胞のサバイバル制御だけでなく、細胞周期のM期移行制御という新たな展開を示したと言える。
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