2002 Fiscal Year Annual Research Report
分泌タンパク質の選別輸送におけるステロールの役割についての解析
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14780554
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
梅林 恭平 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (60321733)
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Keywords | ステロール / ユビキチン / エンドソーム / トリプトファン輸送体 |
Research Abstract |
酵母erg6変異株はステロール合成の後期過程に欠損を示すが,この変異株ではトリプトファン輸送体であるTat2タンパク質(Tat2p)が細胞膜ではなく液胞へ誤輸送されることをこれまでに見出した.平成14年度はTat2pの細胞内選別輸送の分子機構について研究を行った.その結果,Tat2pの細胞内での行き先が,ユビキチンによる翻訳後修飾によって調節されていることを強く示唆する結果を得た.Tat2pは液胞に輸送された時にはポリユビキチン化されていた.BUL1遺伝子産物はユビキチンリガーゼであるRsp5タンパク質と結合することが知られており,Tat2pのポリユビキチン化はBUL1の破壊によって著しく抑制された.この時,Tat2pは非常に効率良く細胞膜へ輸送されるようになった.タンパク質のユビキチン化が細胞内輸送における選別シグナルとして働くことが最近注目を集めているが,これらの結果からユビキチンがTat2pの液胞への輸送シグナルとして働いていることが示唆された.重要なことに,erg6変異株におけるTat2pの液胞への誤輸送もBUL1の破壊によって抑圧された.すなわち,erg6 bul1二重変異株ではTat2pが細胞膜へ輸送されるようになり,培地からのトリプトファンの取込みが回復した.これはerg6変異株ではTat2pが誤ってユビキチン化されて液胞へ輸送されることを示唆しており,膜のステロール組成がタンパク質のユビキチン化に深く関わっている可能性が考えられた.
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Research Products
(1 results)