2004 Fiscal Year Annual Research Report
分泌タンパク質の選別輸送におけるステロールの役割についての解析
Project/Area Number |
14780554
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
梅林 恭平 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (60321733)
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Keywords | コレステロール / オートファジー / リソソーム / エンドソーム / EGF受容体 / ユビキチン |
Research Abstract |
酵母を用いた研究から,膜のステロール組成がアミノ酸輸送体の細胞膜への選別輸送を制御することを明らかにし,論文発表を行った.平成16年度は,哺乳動物培養細胞を用いた研究を行った.ニーマン・ピック病のタイプCと呼ばれる疾患(NPC)では,細胞内でコレステロールが正しく輸送されなくなり,後期エンドソームに多量に蓄積する.コレステロールの局在異常が細胞内膜輸送系に及ぼす影響を知るために,NPCの培養細胞を用いて調べた,その結果,NPC細胞ではオートファジーが亢進されていることが明らかとなった.野生型の細胞を栄養条件から飢餓条件に移すと,オートファジーが起こる.ところがNPC細胞では,栄養条件でもオートファジーが明らかに誘導されていた.オートファジーには,過剰に蓄積したコレステロールをリソソームで分解する役割があるという作業仮説を立てて研究を進めている. 前年度に引き続き,EGF(上皮増殖因子)受容体の細胞内選別輸送についての研究も行った.リガンドと結合して増殖シグナルを発信した後で,受容体はCblというユビキチンリガーゼによってユビキチン化され,これが輸送シグナルとなってリソソームへ運ばれて分解される.ユビキチン化は細胞膜で起こると考えられていたが,われわれはEGF受容体とCblの複合体が,むしろ初期エンドソームに局在することを見出した.その後で,Cblは初期エンドソームからリソソームへ輸送される途中で,受容体から解離していることが強く示唆された,さらに,CblがAAA ATPaseであるSKD1タンパク質と結合することを見出し,SKDIがATPを加水分解することによって,CblをEGF受容体から離していることを示唆する結果を得た.タンパク質のユビキチン化がどうやって完了するかは全く不明であったが,SKD1がリガーゼを基質から解離させるメカニズムが推測された.
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Research Products
(1 results)