2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期制御における新規蛋白質リン酸化酵素Nek9の機能解析
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14780555
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
野口 耕司 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (80291136)
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Keywords | 細胞周期 / プロテインキナーゼ / NlMAファミリー |
Research Abstract |
本研究では、哺乳類での細胞周期、特にG2/M期の未知の制御機構を解明するため新規のNIMAファミリーキナーゼを検索し、G2/M期で発現上昇する新規蛋白質リン酸化酵素Nek9(現在ではNek11と改名されている)の遺伝子をHeLa細胞のcDNAライブラリーより単離、同定することに成功した。昨年度までの研究で、DNA複製阻害剤、aphidicolinやhydroxyurea、あるいは、DNA障害性の抗癌剤処理でNek11の活性が上昇することが見出され、DNA複製阻害剤による細胞周期停止反応にNek11がなんらかの役割を持つことが示唆された。本年度においては、G1/S期停止によるNek11の活性機構について解析し、Nek11が同じファミリーに属するNek2Aにより制御されていることを見いだした。Nek2AはG1/S期停止時において活性化されることが見いだされ、さらにこのG1/S期停止時においてNek11とNek2Aが複合体を形成することが明らかになった。この複合体形成にはそれらのC-末端側の非触媒部位が必要であることも明らかになった。これら2つのキナーゼは核内の核小体に存在することが示され、Nek11-Nek2A複合体が核小体でなんらかの機能を果たしていると推測される。さらに生化学的解析から、Nek11はNek2Aによりリン酸化を受けて活性化することも明らかになった。Nek2AはNek11のC-末端側の非触媒部位を良くリン酸化すること、Nek11のC-末端側の非触媒部位は自己酵素阻害活性があることから、Nek2Aによるリン酸化により、Nek11の非触媒部位による自己阻害活性が解除され結果的にNek11のリン酸化活性が上昇するものと考えられた。以上の知見より、G1/S期停止において、Nek11は同じファミリーに属するNek2Aによりリン酸化による制御を受けて活性化することが強く示唆された。
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