2002 Fiscal Year Annual Research Report
3次元構造を持った表皮における形態形成の数理的研究
Project/Area Number |
14780559
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
望月 敦史 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (10304726)
|
Keywords | 発生生物学 / 形態形成 / 数理モデル / シミュレーション / 魚類体表パターン / 葉脈形成 |
Research Abstract |
発生過程においては、組織のもつ3次元的構造が形態形成に影響を与えると予想される。本申請では表皮や上皮の持つ構造が形態形成に与える効果を、数理モデルを用いて研究した。 魚類の表皮の縞模様について実際の魚の表皮構造に基づき、体表の前後と背腹で物質の拡散速度が異なるとした拡張チューリングモデルを考え解析した。これにより魚の表皮の縞模様が種によって決まった方向にそろう理由の説明に成功した。解析の結果、モデル式のパラメータ、反応の違い、拡散の方法に関係なく、activatorとinhibitorの拡散異方性の差にのみに依存して縞の方向が決まるということがわかった。activatorよりinhibitorが特定の方向に拡散しやすいとき、拡散しやすい方向と平行に縞が形成され、逆にactivatorよりinhibitorが特定の方向に拡散しやすい性質を持つときは、拡散しやすい方向と垂直に縞が形成されると分かった。パターン形成時のダイナミクスの特徴も実際の魚と完全に一致した。また、縞に方向性を与えるために必要な拡散異方性は、小さい値で十分であった。このことから、拡散に影響を与えうる異方性のある構造、例えば鱗の形態や透過性のわずかな違いが、劇的な縞の方向の違いを生んでいると考えられる。 この成果に加えて葉脈形成について新しい有力なメカニズムを提唱した。計算機シミュレーションを行うと、伸長と分岐の繰り返しにより葉脈が作られる一方で、全体として等間隔のネットワークが形成された。このモデルは従来提唱されていた2仮説の特徴的性質(分岐しつつ成長する性質と、拡散不安定性により周期パターンを作り出す性質)を合わせ持ち、これまで対立すると考えられていた2つの仮説を矛盾無く統合することができた。葉脈パターンの種間多様性もわずかなパラメータ変化で作り出せると期待できる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Shoji, H., Mochizuki, A., Iwasa, Y., Kondo, S.: "Directionality of Stripes Formed by Anisotropic Reaction-Diffusion Models"Journal of Theoretical Biology. 214. 549-561 (2002)
-
[Publications] Honda, H., Mochizuki, A.: "Formation and maintenance of distinctive cell patterns by co-expression of membrane-bound ligands and their receptors"Developmental Dynamics. 223. 180-192 (2002)
-
[Publications] Mochizuki, A.: "Pattern formation of cone mosaic in zebrafish retina : A Cell rearrangement model"Journal of Theoretical Biology. 215. 345-361 (2002)
-
[Publications] Kurosawa, G., Mochizuki, A., Iwasa, Y.: "Processes promoting oscillations --comparative study of circadian clock models"Journal of Theoretical Biology. 216. 193-208 (2002)
-
[Publications] Tohya, S., Mochizuki, A., Iwasa, Y.: "Random cell sorting can form cone mosaic patterns in fish retina and explain the difference between zebrafish and medaka"Journal of Theoretical Biology. (印刷中).
-
[Publications] Shoji, H., Mochizuki.A., Iwasa, Y., Hirata, M., Watanabe, T., Hioki, S., Kondo, S.: "Origine of directionality in the fish stripe pattern"Journal of Theoretical Biology. (印刷中).