2002 Fiscal Year Annual Research Report
網膜内領域特異性決定における新規BMP-4中和分子Ventroptinの役割
Project/Area Number |
14780565
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
作田 拓 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40343743)
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Keywords | 網膜視蓋投射 / Ventroptin / BMP-2 / BMP-4 / TGF-β / アンタゴニスト |
Research Abstract |
これまでの研究から発生後期の網膜においてVentroptinと逆勾配を持って発現する未知のTGF-βファミリー分子が存在し、この分子とVentroptinとの相互作用により前後軸方向における網膜視蓋投射が制御されていることが推測された。 そこで、まずVentroptinが網膜の前後軸方向で勾配をなして発現している発生8日目のニワトリ網膜において発現しているTGF-βファミリー分子の同定を試みた。具体的にはTGF-βファミリー遺伝子断片を増幅させるdegenerateプライマーを作製し、発生8日目の網膜cDNAを鋳型としてRT-PCRを行った。これにより同定された網膜において発現するTGF-βファミリー分子はBMP-2、BMP-4、BMP-7、GDF-5、GDF-6、GDF-7の6種類であった。これらのTGF-βファミリー分子の発生8日目のニワトリ網膜における発現パターンをin situ hybridizationによって解析したところ、これらのうちBMP-2が背側・後側で高く腹側・前側で低い勾配を持って発現しており、Ventroptinと相補的な発現パターンを示すことが判明した。またBMP-2の発現開始時期はVentroptinが前後軸方向において勾配を持ち出す時期と一致していた。 Ventroptinを異所的に発現させ網膜内のBMPシグナルを抑制したときに網膜後側でephrin-A2の異所的発現が起こることから、ephrin-A2は目的とするTGF-βファミリー分子によって負の調節を受けると予想される。そこで発生途中の網膜にBMP-2を異所的に発現させる実験を行ったところ、網膜前側で強く発現しているephrin-A2の発現が抑制された。 以上のことは、前後軸方向における網膜視蓋投射を制御する未知のTGF-βファミリー分子の実体がBMP-2であることを強く示唆している。
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