2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780574
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
井上 浄 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (20342719)
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Keywords | 大脳皮質 / Znフィンガー / アンキリンリピート / DNAチップ / in situハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
DNAチップによる体系的な遺伝子発現プロファイリングとin situハイブリダイゼーション法によるスクリーニングの結果、アダルトマウスにおいて大脳皮質優位に発現する二つの遺伝子(#5,#15)を同定した。#5はZnフィンガーモチーフを含有する遺伝子、#15はアンキリンリピートを含有する新規の遺伝子であった。我々はまずこれら二つの遺伝子のマウス脳内における空間的、時間的な発現パターンの解析を行った。#5は脳特異的な分子であり、脳内では大脳皮質のV、VI層の錐体細胞に特異的に発現が認められた。また各発生段階における遺伝子発現解析の結果、#5は少なくとも胎生14.5日にはすでに大脳皮質に発現が認められた。マウスにおいてV、VI層の細胞は胎生13-16日にかけて形成されることを考え合わせると、#5はV、VI層の神経細胞の発生、発達において非常に初期段階から発現し、皮質下への軸索投射をはじめとするこれらの層の錐体細胞の固有な性質の獲得に寄与していると考えられる。#15は大脳皮質優位であるが、海馬や線条体、中隔など前脳領域に中等度の発現が認められた。胎生期より発現誘導される#5とは対照的に、#15は生後2週目から3週目にかけて発現誘導され、つまり大脳皮質神経細胞の突起伸展、シナプス形成の時間経過に一致して誘導され、成獣まで維持される。この空間的、時間的発現パターンはCalcium/Calmodulin-dependent protein kinase II α subunit(CaMKIIα)の発現パターンと極めて酷似したものである。CaMKIIαはシナプス後部でAMPA型グルタミン酸受容体の活性上昇を介して長期増強の発現に寄与していると考えられている。#15のCaMKIIαとの時間、空間的発現分布の一致は、#15がCaMKIIαと同じく大脳皮質におけるシナプス機能の発現に関与する分子であることを示唆するものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kobayashi, K.Tanaka, K.Inoue, A.Kakizuka: "Functional ATPase activity of p97/VCP is required for the quality control of endoplasmic reticulum in neuronally differentiated mammalian cells"Journal of Biological Chemistry. 277・49. 47358-47365 (2002)
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[Publications] H.Nishitoh, A.Matsuzawa, K.Tobiume, K.Saegusa, K.Takeda, K.Inoue, S.Hori, A.Kakizuka, H.Ichijo: "ASK1 is essential for endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death triggered by expanded polyglutamine repeats"Genes and Development. 16. 1345-1355 (2002)