2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14780574
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
井上 浄 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経科学部門, 研究員 (20342719)
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Keywords | 大脳皮質 / Znフィンガー / in situハイブリダイゼーション / 投射ニューロン / リーラーマウス |
Research Abstract |
マイクアレイとin situハイブリダイゼーション法を用いた解析の結果、マウス大脳新皮質特異的遺伝子として数種の遺伝子を同定した。本年度はそのうちジンクフィンガーモチーフを含有する遺伝子Fezについて解析を行った。 Fezはアダルトマウスにおいて、ほぼ大脳新皮質特異的な発現パターンを示し、新皮質内では第5,6層の錐体細胞に特異的に発現していることを明らかにした。 また発生段階を追った発現解析を行ったところ、Fezは胎生初期より成獣に至るまで一貫して第5,6層の錐体細胞に限局して発現が維持された。これらのことからFezは大脳新皮質第5,6層の錐体細胞の発生、成熟、また皮質下への軸索投射をはじめとするこれらの層固有の機能を研究する上で有益なマーカーとなるとともにFezの機能解析は層特異的な軸索伸展機構など層固有の性質獲得の分子メカニズムの解明につながる可能性が高いと考えられる。(Inoue, K et al.,投稿中) 大脳新皮質の層構造が正常に形成されないリーラーマウスにおいては第5,6層の錐体細胞は特定の位置に配列せず全層に分布するが、逆行性標識を用いた研究や電気生理学的研究により皮質下への軸索投射は正常に保たれていることがわかっている。リーラーマウスにおいてFez陽性細胞は、リーラーマウスの脊髄、視床などの皮質下領域にトレーサーを注入したときの新皮質での逆行性標識細胞の分布と非常によく似た分布を示すことを明らかにした。この分布の一致はリーラーマウスにおいても細胞の配置パターンはくずれるもののFezが正常に発現することにより正常な軸索投射を誘導している可能性を示すものである。現在Fezが皮質下領域投射ニューロンに特異的に発現しているかを、逆行性トレーサーとFezの共局在を調べることにより確認している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kobayashi, K.Tanaka, K.Inoue, A.Kakizuka: "Functional ATPase activity of p97/VCP is required for the quality control of endoplasmic reticulum in neuronally differentiated mammalian cells."Journal of Biological Chemistry. 277・49. 47358-47365 (2002)
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[Publications] H.Nishitoh, A.Matsuzawa, K.Tobiume, K.Saegusa, K.Takeda, K.Inoue, S.Hori, A.Kakizuka, H.Ichijo: "ASK1 is essential for endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death triggered by expanded polyglutamine repeats."Genes and Development. 16. 1345-1355 (2002)