2002 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経細胞の成熟過程に於ける液性因子BMPの役割
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14780592
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山田 真久 理化学研究所, 細菌培養技術開発チーム, 研究員 (60321832)
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Keywords | BMP受容体 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
中枢神経細胞の初期発生において、最終分化が終わっていない細胞の運命が未決定な神経幹細胞といわれるステージから神経細胞やダリヤ細胞など最終分化が終わったステージ迄の時間軸のなかで、BMPがどのように関わって機能を発現しているかを解析することを主眼としている。大脳皮質特異的に発現する転写調節因子emx-1遺伝子にcreリコンビナーゼを発現させ、大脳皮質特異的にBMP受容体遺伝子欠損マウスを作製した。これまでの解析から、胎生期12日から14日での大脳皮質の層構造形成そのものに異常は認められず、更にChoroid Plexusにも異常は認められなかった。大脳皮質の錐体細胞にルシファー・イエローをインジェクションし、対照細胞とBMP受容体が欠損した錐体細胞の違いを形態的に検証したが、軸索の太さ、方向性、スパイン数に有為な差をみいだすことができなかった。この結果は、emx-1の発現が見られる範囲でBMPが細胞運命決定に必須では無いことが考えられた。そこで生後2週齢の大脳皮質の脳を解析することにした。この生後の脳においては、大脳皮質の2から3層及び大脳縦裂近傍に顕著な細胞死のマーカーであるTUNEL陽性細胞の出現が見られた。この結果、神経系細胞の運命決定以降の時間軸の中でBMP受容体であるALK3が神経系細胞の生存維持に必須の役割を果たしている可能性が強まった。このような限定的な範囲に細胞死が見とれられた原因がなぜかを含め、神経ネットワークがほぼ完成に近付く時間でのBMP受容体機能を解析している。
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