2002 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核―大脳皮質回路で起きる異なる時定数のダイナミクスの解明
Project/Area Number |
14780614
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中原 裕之 理化学研究所, 脳数理研究チーム, 研究員 (10312282)
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Keywords | 神経細胞集団活動 / 大脳基底核 / 強化学習 / 自己組織化 / 同期現象 |
Research Abstract |
本研究は、「大脳基底核-大脳皮質回路で起きる異なる時定数のダイナミクスの解明」という題目のもとで、大脳基底核-大脳皮質回路で起きる異なる時定数のダイナミクスをモデル化するツールの開発、そのデータ解析の手法の開発をまず中心として研究を進めた。その一環としては、神経細胞集団の発火がどのように外界の刺激を符号化・復号化するのかについてその最適性を研究した。また大脳基底核の細胞が、報酬信号を利用しつつ、自己組織化を通じて、効率の良い発火パターンを示せることをしめした。同時に、大脳基底核-大脳皮質回路による逐次的運動の学習・制御のモデルを構築し、実験結果と比較検討した結果、我々の提案した多重表現仮説が逐次運動の学習・制御に関するの脳回路の仮説として適していることを示した。以上の研究により、細胞集団の特性を把握することができた。 また、同時発火がどのような機能を持ちうるかについて、モデルの立場からの研究と、情報幾何を用いたデータ解析の立場からの研究を並行して進めた。情報幾何座標系を使うと、今まで観測不可能だった高次相関を実験データからきちんと定量的に測定できることになる。これにより、今まで不可能だった神経細胞集団の発火活動の高次相関が動物の意思決定にどれくらい関与しているのかが定量的にぎろんできるようになる。この観点から、まずデータ解析手法を提案して、それを論文にまとめた。次にそれをモデルの観点から議論するために、そのモデルを提案してそのモデルの振る舞いについても論文発表を行った。 現在は、これらの成果に基づき、異なった時定数を併せてモデル化そしてデータ解析する手法について研究を更に推し進めている段階である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hikosaka, O., Nakamura, K., Sakai K., Nakahara H.: "Central mechanisms of skill learning"Currnet Opinion in Neurobiology. 12. 217-222 (2002)
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[Publications] Nakahara, H., Amari, S., Hikosaka, O.: "Self-organization in the basal ganglia with modulation of reinforcement signals"Neural Computation. 14. 819-844 (2002)
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[Publications] Takikawa, Y., Kawagoe, R., Ito, H., Nakahara, H., Hikosaka, O.: "Modulation of saccadic eye movements by predicted reward outcome"Experimental Brain Research. 142・2. 284-291 (2002)
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[Publications] Wu, S., Amari, S., Nakahara, H.: "Population coding and decoding in a neural field : A computational study"Neural Computation. 14・5. 999-1026 (2002)
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[Publications] Nakahara, H., Amari, S.: "Information geometric measure for neural spikes"Neural Computation. 14・10. 2269-2316 (2002)
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[Publications] Amari, S., Nakahara, H., Wu, S., Sakai, Y.: "Synchronous firing and higher-order interactions in neuron pool"Neural Computation. 15・1. 127-142 (2002)
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[Publications] Nakahara, H., Amari, S.: "Information-geometric decomposition in spike analysis. In Advances in Neural Information Processing Systems 14 (T. G. Dietterich, S. Becker, and Z. Ghahramani (Eds.))"MIT Press. 253-260 (2002)