2002 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性高分子キャリアーの遺伝子デリバリーシステムへの応用とその制御機構の解明
Project/Area Number |
14780651
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
武田 直也 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60338978)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / 温度応答性高分子 / DNA / 高分子キャリアー |
Research Abstract |
主鎖にはカチオン性ユニットとして2-(dimethylamino)ethyl methacrylate (DMAEMA)を、また側鎖には温度応答性高分子であるpoly(N-isopropylacrylamide)(poly-IPAAm)を配し、主鎖の長さならびに側鎖の導入量を様々に変化させた櫛型のgraftcopolymerを合成した。また、IPAAm、DMAEMAさらに疎水的な分子であるbutylmethacrylate (BMA)の3つのユニットからなる直鎖状のrandom copolymerを合成した(IP-20D-yB)。IP-20D-yBでは、DMAEMAの導入率はモル比20%に固定し、IPAAmとBMAのモル比を系統的に変化させてある(yはBMAのモル比を表す)。対照として、温度応答性を有しないhomopolymerであるpoly-DMAEMAも合成した。各高分子の構造および相転移温度などの物性は分光学的手法により評価した。 これら温度応答性高分子を遺伝子キャリアーに用い、β-galactosidaseをコードしたplasmid DNAをCOS-1細胞ならびにNIH-3T3細胞へ導入する実験を行った。興味深いことには、一連のIP-20D-yD (y=0,5,10,15%)を用いた場合、IP-20D-10Bのみが大きな遺伝子導入能を示した。そのtransfection効率は、lipid系の遺伝子導入試薬として知られるDOTAPに匹敵する。カチオン性ユニットだけのhomopolymer (poly-DMAEMA)でも遺伝子導入能はほとんど失われてしまう。これより、高いtransfection能を持つ遺伝子キャリアーを分子設計するには、適度な疎水ユニットの導入が有用であることが明らかとなった。続いて、細胞培養温度の変化により遺伝子導入効率を制御することを試みた。これまでに統計的に有意な大きさで遺伝子導入効率を制御するには至っていない。引き続き、(1)高分子キャリアー/DNA複合体の形成、(2)transfection、(3)細胞培養(温度変化をかける時間、タイミング、温度)の各操作について様々条件を変化させるとともに、transfectionのメカニズムについても合わせて検討していく予定である。
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