2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞シート工学による腎尿細管上皮細胞と内皮細胞の積層共培養系の確立
Project/Area Number |
14780652
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
串田 愛 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10338981)
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Keywords | 温度応答性培養皿 / 細胞シート工学 / 腎尿細管上皮細胞 / 血管内皮細胞 / 共培養 / 膜電位抵抗値 |
Research Abstract |
多孔性膜を介した尿細管上皮細胞と血管内皮細胞の共培養系の確立:昨年度に引き続き、腎尿細管上皮由来の株化細胞であるMadin-Darby canine kidney(MDCK)細胞を用い、尿細管上皮細胞シートを作製し、二次元マニピュレーション技術によりカルチャーインサート底面のポリエチレンテレフタレート(PET)膜(孔径0.4μm、孔密度1.6×10^6/cm^2)へ再接着させ、その膜電位抵抗値(TER)の変化を検討した。昨年度報告したように現状では、二次元マニピュレーション後、細胞が接着していない部分が、特にPET膜の縁に生じてしまう。そこでPET膜への細胞外マトリックスタンパク質のプレコーティング、再接着後における成長因子の添加および血管内皮細胞との共培養によりこれら欠損部の修復の加速を試みたが優位差は得られず、さらに欠損部が修復し、PET膜を細胞が全面を覆うようになってもTERが上昇することはなかった。また、ヒト近位尿細管上皮細胞を二次元マニピュレーションしても同様に欠損部が生じた。MDCK細胞をトリプシン処理により回収し播種すると、TERは培養日数に応じて上昇し、培養1週間程度でピークを迎え、その後減少する。温度応答性培養皿からのMDCK細胞シートの回収は3週間以上培養を行うことによってのみ実現するため、すなわちTERが下がってしまったものを二次元マニピュレーションに用いていることになる。温度応答性培養皿から細胞シートは非侵襲的に回収されることから、TERが低いという回収前の細胞の状態が二次元マニピュレーション後もそのまま維持されていると思われる。回収前の細胞をTERの高い状態で維持する培養条件もしくは短い培養期間で早く細胞シートを回収する手法を検討する必要がある。
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