2002 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞シートを利用した再生組織への血管新生を誘導する環境因子の基礎的検討
Project/Area Number |
14780654
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
播元 政美 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70338979)
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Keywords | 細胞シート / 生体応答 / 血管誘導 |
Research Abstract |
ヒト大動脈血管内皮細胞、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、ウシ大動脈血管内皮細胞、ヒト肺線維芽細胞、ヒト大動脈血管平滑筋細胞、ラット心筋細胞、ラット肝実質細胞などからなる細胞シートを得るため温度応答性培養皿を適用した。どの細胞においても本培養表面から低温処理で細胞シートが回収された。これらの細胞シートのヌードラット皮下への導入による生着性、周囲組織の変化などについて経時的に観察した。導入3日後、7日後、14日後のいずれにおいても導入した部位に細胞シートが残っている様子が観察された。細胞シート導入部近くには血管が周囲より多く存在した。同一個体の細胞シート導入部位の切開のみでは観察されない現象であることから、本結果は細胞シートの導入による生体の応答性であると、考えられた。さらに細胞シート条件による血管誘導作用の差異を検討するため、線維芽細胞シート、血管内皮細胞シートを用い、各々単層および二重層で導入した場合の現象を、組織切片(断層方向)のHE染色像およびAzan染色像より比較した。単層よりも二重層、さらに線維芽細胞シートよりも血管内皮細胞シートで導入部周囲組織中に多くの血球が認められる傾向があった。重層化共培養組織(心筋細胞シート/血管内皮細胞シート、平滑筋細胞シート/血管内皮細胞シート、肝細胞シート/血管内皮細胞シートなど)についても皮下組織への導入が可能であり、導入7日後においても細胞シートが残っている様子が確認された。単層で導入した細胞シート同様に、シート導入部位周辺で血管様組織が多く認められた。同一個体に導入した平滑筋細胞シート/血管内皮細胞シートと肝細胞シート/血管内皮細胞シートとの比較では、前者に細かい血管が数多く認められるのに対し、後者では比較的少ない傾向が観察された。細胞シートの生体への導入がシート条件による局所的応答性を誘導し得る可能性が示唆された。
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