2002 Fiscal Year Annual Research Report
色・運動刺激の同時提示によるVEPを用いた視覚M/P経路特性の計測法の開発
Project/Area Number |
14780656
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
百瀬 桂子 神奈川工科大学, 工学部, 講師 (60247210)
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Keywords | 非線形システム解析 / 視覚誘発電位 / 大細胞系(Magnocellular) / 小細胞系(Parvocellular) / 空間周波数 / 疑似ランダム系列 / Binary Kernel / 色刺激 |
Research Abstract |
本研究は,視覚誘発電位(VEP)を用いて視覚M/P経路特性を短時間に計測する方法の開発を目的としている.本年度は,VEP中のM/P経路応答の分離抽出の可能性を探るため,空間周波数が異なる刺激に対するVEPの非線形解析を試みた. (1)刺激装置の開発 一定空間周波数の市松模様および縦縞模様の色度・輝度を変調した刺激を提示できる刺激装置を構築した.さらに,これらの刺激を多数組み合わせて同時に,かつ,それぞれ異なる疑似ランダム系列(PRBS)に従って提示できる刺激装置とした.これを既存のVEP計測装置と組み合わせることで,リアルタイムのパラメータ解析・表示を可能とした. (2)健常者対象のVEP測定 M経路が応答する低空間周波数の輝度変調刺激およびP経路が応答する高空間周波数の輝度変調刺激に対するVEPの解析を行った.刺激は白黒の市松模様とし,この輝度をPRBSに基づいて反転させた.視覚疾患を持たない健常者4名を対象として,異なる5つの空間周波数(0,0.5,1,2,4[c/deg])に対するVEPの非線形パラメータ(N次核関数)を比較した.この結果,空間周波数の増加に伴い,VEPの2次核関数第2スライスの振幅は増大し,第1スライスの振幅には変化が見られなかった.これより,第1,第2スライスはそれぞれM経路応答とP経路応答の反映を示唆していると考えられた.今回用いた刺激の変調頻度(時間周波数)をより高くし,運動刺激とすることで,M経路応答がより明確に分離できると考えられた.P経路応答を得ることができる色刺激については,次年度の課題として残された.
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