2003 Fiscal Year Annual Research Report
ビオチン脂質とペプチド脂質を用いた成長因子等の固定化と徐放化
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14780661
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Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
川上 宏子 (財)野口研究所, 研究員 (40320254)
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Keywords | ビオチン脂質 / ペプチド脂質 / 表面プラズモン共鳴 / タンパク質の固定化 / タンパク質の徐放化 / レクチン |
Research Abstract |
ビオチン-アビジンは高い親和性を持つことで知られている。ビオチンを脂質部分に結合したビオチン脂質を合成し、プラスチックディッシュなどの疎水表面にコートして用いることにより、任意のアビジン標識タンパク質を固定化できると考えた。また、アビジンとの弱い親和性を示すHPQペプチド配列を持つペプチド脂質を用いると、培養素材からタンパク質を徐放できると考え、本研究を行った。 ビオチン脂質およびHPQペプチド脂質は、既知の方法により合成した。 ビオチン脂質とHPQペプチド脂質は、各々、表面プラズモン共鳴装置を用いてストレプトアビジンとの相互作用を測定した。疎水表面に固定化したビオチン脂質はストレプトアビジンと非常に強い相互作用を示した。次いで、ビオチン脂質に結合したストレプトアビジンとビオチン標識したコンカナバリンAとの結合能を測定し、タンパク質の固定化が可能であることを確認した。さらに、固定化したコンカナバリンAがレクチンとしての機能を保っていることを確認する為に、ハイマンノース型の糖鎖を持つリボヌクレアーゼBとの相互作用を測定した結果、レクチン-糖鎖間の弱い相互作用を確認した。 一方、HPQペプチド脂質は、ストレプトアビジンが結合した後、徐々に解離し、弱い相互作用(K_D=1.45×10^<-5>M)を確認したことから、タンパク質の徐放に使用できることが示された。また、弱い相互作用を持つレクチン-糖鎖間の相互作用を利用した徐放化についても検討した。マメ科植物Bauhinia purpureaレクチンのガラクトース認識配列(DTWPNTEWS)を持つペプチド脂質を合成し、同様の方法で、ガラクトースを非還元末端に持つアシアロフェツインとの相互作用を測定した結果、弱い相互作用(K_D=1.89×10^<-5>M)を確認したことから、レクチン-糖鎖間の相互作用を利用した徐放化の可能性も示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kawakami, H., Toma, K.: "Lipid-conjugates of Biotin and an Avidin-binding Peptide : Synthesis and Properties"Peptide Science 2002. 389-392 (2003)
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[Publications] Hara, M., Takanashi, Y., Tsuzuki, N., Kawakami, H., Toma, K., Higuchi, A.: "Production of interferon-β by NB1-RGB cells cultured on peptide-lipid membranes"Cytotechnology. 42. 13-20 (2003)
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[Publications] Kawakami, H., Toma, K.: "The carbohydrate recognition of mini-lectin in view of the three-dimensional structure of lectin"Peptide Science 2003. 435-438 (2004)