2014 Fiscal Year Annual Research Report
大気エアロゾル中の有機硫酸塩とその他の新規有機物の同定・定量に関する研究
Project/Area Number |
14F03901
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUNDU Shuvashish 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 有機エアロゾル / 海洋エアロゾル / グリオキサール / メチルグリオキサール / 済州島 / ゴーサンサイト / 東シナ海 / 環境分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
東シナ海に位置する済州島・ゴーサンサイトにて採取したエアロゾル試料中にジカルボニルをガスクロマトグラフにて測定し2001年から2008年までのグリオキサールおよびメチルグリオキサールの経年変化を明らかにした。グリオキサールは1月に最大濃度を示し、2001年から2008年にかけて年率29%で増加した。一方、メチルグリオキサールは春に最大濃度を示し、年率83%で増加した。前者は、主に汚染性VOCの酸化で生成するのに対し、後者はイソプレンなど生物起源VOCの酸化によって生成する。これらの増加は、オゾン、一酸化炭素の増加と良い傾向の一致を示した。本研究の結果、グリオキサールおよびメチルグリオキサールは、液相への取り込み反応を通して、東シナ海においては有機エアロゾル生成に関与している可能性が指摘された。 現在、この成果を、Environ. Sci. & Technol.に投稿中である。 Kundu氏は、済州島・ゴーサンサイトで採取した大気エアロゾル中に低分子ジカルボン酸・オキソ酸・α-ジカルボニルのデータ解析を行い、グリオキサールおよびメチルグリオキサールの濃度がそれぞれ冬と春に増加しているのを見いだした。この発見はこれまでにないものであり、東アジアの大気質を議論する上で重要な観測結果を提示した。離島における長期観測自体が極めて限られている中で、長期変動の傾向を示したことは高く評価できる。更に、同氏は低分子ジカルボン酸・オキソ酸の解析も同時に行っており、興味ある結果を見つけている。これらは別の論文としてPNASに投稿準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kundu氏は、済州島・ゴーサンサイトで採取した大気エアロゾル中に低分子ジカルボン酸・オキソ酸・α-ジカルボニルのデータ解析を行い、グリオキサールおよびメチルグリオキサールの濃度がそれぞれ冬と春に増加しているのを見いだした。この発見はこれまでにないものであり、東アジアの大気質を議論する上で重要な観測結果を提示した。離島における長期観測自体が極めて限られている中で、長期変動の傾向を示したことは高く評価できる。更に、同氏は低分子ジカルボン酸・オキソ酸の解析も同時に行っており、興味ある結果を見つけている。これらは別の論文としてPNASに投稿予定である。Kundu氏は、外国人特別研究員としては高いレベルに達成していると評価できる。達成度は概ね良好であると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
有機エアロゾル生成の最近の特徴を明らかにすることを目標に、済州島での長期観測結果の解析を更に進める。その中で、低分子ジカルボン酸・オキソ酸などの分子レベルでの詳細な解析から、有機エアロゾルの先駆体の特定またその酸化反応を議論する予定である。人為起源有機物、植物からのVOCの放出、オゾンの増加・一酸化炭素の増加など、複雑な大気環境が変化する中で、東アジアの影響を強く受けた東シナ海・済州島およびその近海にて有機エアロゾルの組成と生成機構の特徴を明らかにしていきたい。
|
Research Products
(10 results)