2014 Fiscal Year Annual Research Report
距離正則グラフの一般化されたターウィリガー代数とダブルアフィンヘッケ環
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14F04019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 太初 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50466546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Jae-Ho 東北大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 距離正則グラフ / ダブルアフィンへッケ環 / 直交多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
最も一般的なパラメータを持つ (すなわち q-Racah 型の) Q-多項式距離正則グラフのある種の極大クリークに付随する非可換代数の所謂「主加群」上に、ランク1普遍ダブルアフィンへッケ環の既約加群の構造が入ることを、Lee 氏は学位論文で示したが、平成26年度は主加群の自然な直交基底と普遍ダブルアフィンへッケ環の生成元を用いて1変数有限ローラン直交多項式系を導入し、通常の (対称) q-Racah 直交多項式を用いた記述を与えた。これは、Q-多項式距離正則グラフの双対性により q-Racah 直交多項式系 (及び Askey スキームに属する他の有限直交多項式系) を特徴付ける Leonard の定理 (1984年) の、「非対称版」の確立への試みだと言える。これらのローラン直交多項式は「非対称 q-Racah 多項式」と呼ぶべきものであり、Q-多項式距離正則グラフを用いた組合せ的な構成・解釈を与えている点が大きな特色である。さらに、パラメータqを持つ普遍ダブルアフィンへッケ環と1/qを持つものとの間の同型を用いて、これらのローラン多項式が本質的に非対称 Askey-Wilson 直交多項式と一致することも示した。これらの研究成果の一部について、Lee 氏は11月に中国科学技術大学で開催された国際研究集会や12月に開催されたRIMS研究集会等で口頭発表を行った。普遍ダブルアフィンへッケ環の一つの生成元の固有値・固有ベクトルを用いて直交関係式の簡明な記述を与えることが今後の課題であるが、代数的組合せ論の直交多項式の理論への新たな応用として、一定のインパクトを持つものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り、本研究は代数的組合せ論による1変数ローラン直交多項式へのアプローチを与えるものであり、最上位の非対称 q-Racah 直交多項式をまず捉えることができたことは、大変重要な成果である。また、本アプローチによる非対称 q-Racah 多項式の表示は非対称 Askey-Wilson 多項式とは少々異なるのだが、これらが最終的に普遍ダブルアフィンへッケ環の同型対応を通して本質的に同じであることが証明できた。従って、対称な場合と同様の状況が非対称な場合でも成立しており、これは本研究のアプローチの妥当性・有効性を示すものとして、大きな進展だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はQ-多項式距離正則グラフとランク1普遍ダブルアフィンへッケ環を結び付ける大変野心的なものであり、多くの関連した研究テーマが考えられる。これらに順次取り組んでいく予定であるが、平成26年度と同様に、平成27年度も Lee 氏は指導教員であった Terwilliger 教授を訪問し、集中的な情報交換・研究打合せを行うことを予定している。これによって、これまでの一連の成果を整理し、他の研究と関連付け、本研究の飛躍的な発展の基盤としたい。
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Research Products
(4 results)