2015 Fiscal Year Annual Research Report
距離正則グラフの一般化されたターウィリガー代数とダブルアフィンヘッケ環
Project/Area Number |
14F04019
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 太初 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50466546)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE JAE-HO 東北大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 距離正則グラフ / ダブルアフィンへッケ環 / 直交多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に主に行った、Q-多項式距離正則グラフのある種の極大クリークに付随する非可換代数に基づく「非対称 q-Racah 多項式」の研究について、Lee 氏は議論を整理した上で論文を執筆した。組合せ論関係のトップ誌の一つである Journal of Combinatorial Theory, Series A に掲載が決定している。なお、平成26年度の時点で課題として残っていた、これらの1変数ローラン多項式の満たす直交関係式の記述についても、本論文中で解決することができた。平成27年度後半はこの論文の内容を発展・拡張することを目指し、いくつかの試みを行った。まず、この論文では上述の非可換代数の所謂「主加群」に入るランク1普遍ダブルアフィンへッケ環の既約加群の構造が本質的であり、同様の構造を (ある種の仮定の下で) 他の既約加群に一般化することを試みた。しかしながら、しかるべき結論を得る上で課した仮定が少々強過ぎると思われ、しかも現時点ではこれを緩めた適切な仮定を見出すには至っていない。また、最も退化した場合である Krawtchouk 多項式の「非対称版」についても考察を行った。この場合 Q-多項式正則グラフとしては Hamming グラフを考えることになるが、ダブルアフィンへッケ環の、知られているいくつかの退化版は、冒頭の非可換代数とは対応していないようであり、従って表現論的な観点からインパクトのある成果はまだ得られていない。一方、直交関係式の記述に関する平成27年度の新たな成果も含めた上述の論文の研究について、Lee 氏は6月にオランダやスロベニアで開催された国際研究集会等に於いて口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の主要テーマである1変数超幾何ローラン直交多項式の研究について、最上位の非対称 q-Racah 多項式の場合が一段落し、成果を纏めた論文が掲載決定となったのは重要な進展である。他方、下位のローラン直交多項式の場合、及び他の一般の既約加群への理論の拡張については、当初の想定よりは難航している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究期間は5ヶ月弱であり、(1) 上述の二つを含めた今後の課題を整理・検討し、研究期間終了以降も継続して取り組んで行くための準備を行うこと、及び (2) 本研究計画に沿った、(恐らく)より短期的な課題のいくつかに集中的に取り組むこと、の2点を考えている。(2) に関しては、Hamming グラフのq類似である双対極グラフの場合が本稿執筆時点での有力な候補である。
|
Research Products
(7 results)