2015 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ多孔性物質に束縛された分子クラスターの異常凝集過程に関する研究
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14F04029
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長岡 正隆 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50201679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAKHIRA Srimanta 名古屋大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 多孔性配位高分子(PCP) / 有機金属骨格(MOF) / ホスト―ゲスト間相互作用 / ゲスト分子非等方的拡散 / 分子力場パラメータ調製 / ジカルボン酸有機配位子 / 分子動力学(MD)計算 / 密度汎関数法(DFT) |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔性配位高分子(PCP)または金属有機骨格(MOF)のナノサイズ細孔に集積されるゲスト分子は、特異的な特性、特に拡散挙動、凝集構造、相転移挙動を示す。これら挙動を分子レベルで理解することは、PCPへのゲスト分子導入を活用した新規機能材料開発へと繋がると期待できる。本研究では、一次元細孔を有するPCP [Zn2(X)2DABCO](Xはジカルボン酸有機配位子、DABCOは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)を対象として、分子シミュレーション手法により、ゲスト分子挙動とPCP骨格柔軟性の解析を行った。まず、最も単純なXであるテレフタル酸で構築されたPCP細孔について、ゲスト分子として封入したメタクリル酸メチルの拡散挙動を分子動力学計算により解析した。その結果、細孔内でゲスト分子2分子が並行に配列する傾向が見られ、細孔に沿った速い拡散と、細孔間の狭い隙間を通過することで生じる遅い拡散による、ゲスト分子の非等方的拡散挙動を明らかにした。次に、テレフタル酸およびそのベンゼン環部位に種々の置換基を導入した計7種類のジカルボン酸に対して、密度汎関数法計算によるベンゼン環回転挙動の解析を行い、PCP骨格柔軟性を解析した。テレフタル酸では、実験測定結果と一致した平面型安定構造および約50 kJ/molの高い回転障壁を得た。その他のXでは、置換基に依存した平面型および非平面型の安定構造が得られ、テレフタル酸よりも低い回転障壁を得た。特に、ベンゼン環の水素原子を全てフッ素原子で置換した配位子は、約10 kJ/molの低い回転障壁を与え、ナノ秒スケールで頻繁に回転することが予測された。以上の安定構造および回転障壁を再現するように力場パラメータを調製することで、異なるXで構築されるPCP骨格構造ダイナミクスの正確なシミュレーションが可能となる。この結果は、今後のより高精度なゲスト分子挙動解析の実現に繋がるものである。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)