2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14F04031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 正廣 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60167707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI ZHAOYANG 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 単分子量子磁石 / 光スイッチング機能 / スピンクロスオーバー錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
光スイッチング機能分子(フォトクロミック分子)であるジチアルエテン分子の両端にビピリジン部位を導入した新しい配位子を合成した。紫外光と可視光を交互に照射することにより、ジチアルエテン部位が開環と閉環を可逆的に何度も繰り返すことを確認した。閉環状態では両端のビピリジン配位子部分がπ共役で連結されているために、相互作用が期待される。一方、開環状態の場合、π共役が切れているために両端間の相互作用が生じない。そこで、開環状態の配位子にと鉄(2価)イオンを溶液中で加えることにより、ジチアルエテン誘導体のビピリジン部位が配位子として架橋した鉄4核グリッド型錯体を得ることに成功した。また、単結晶を得ることにも成功した。 93Kでの単結晶X線構造解析および磁化率測定の結果から、鉄4核グリッドの酸化状態は、鉄(2価)低スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態ー鉄(2価)低スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態であった。 今後は、低温(4K以下)における交流磁化率測定により、単分子量子磁石的挙動を示すかについて実験を行う。また、4K以下での単分子量子磁石的挙動下における光照射により「光誘起スピンクロスオーバー(LIESST)」現象の観測を行う予定である。これにより、光スイッチング機能を有する単分子磁石の創成を目指す。 また、193Kにおいては、鉄(2価)高スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態ー鉄(2価)低スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態を取ることが期待され、さらに室温では、鉄(2価)高スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態ー鉄(2価)高スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態を取ると予想される。これらの温度変化の構造を決めると同時に、磁性の測定を行う。また、鉄の電子状態を正確に決めるために、メスバウアースペクトルを測定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの最終目的は「光スイッチング機能を有する単分子量子磁石の創成」である。現時点で、光スイッチング機能(フォトクロミック分子)を有するジチアルエテン分子の両端に配位可能なビピリジンを導入した、新しいフォトクロミック分子の合成に成功している。紫外光と可視光を交互に照射することにより、このフォトクロミック分子が開環状態と閉環状態を可逆的に変化することを確認している。 開環状態のこの配位子と鉄(2価)イオンを溶液中で混合することにより、フォトクロミックな鉄4核グリッド型錯体の合成に成功して、単結晶構造解析からその構造を明らかにした。磁化率の測定から鉄の電子状態が、鉄(2価)低スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態ー鉄(2価)低スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、低温(4K以下)における交流磁化率測定により、周波数異存性を確認して、単分子量子磁石的挙動を示すかについて実験を行う。また、4K以下での単分子量子磁石的挙動下における光照射により「光誘起スピンクロスオーバー(LIESST)」現象の観測を行う予定である。これにより、光スイッチング機能を有する単分子磁石の創成を目指す。また、193Kにおいては、鉄(2価)高スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態ー鉄(2価)低スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態を取ることが期待され、さらに室温では、鉄(2価)高スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態ー鉄(2価)高スピン状態ー鉄(3価)低スピン状態を取ると予想される。これらの温度変化の構造を決めると同時に、磁性の測定を行う。また、鉄の電子状態を正確に決めるために、メスバウアースペクトルを測定する予定である。
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