2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90209065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GAO Jing 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 単結晶X線構造解析 / 結晶スポンジ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、本研究計画を遂行するにあたって必要な単結晶X線回折実験の技術習得、および実験条件の最適化を行った。本質的に良質な回折データを得るためには、結晶育成条件の最適化が必須である。今回、当研究室で主に取り組んでいる「結晶スポンジ法」の系を利用し、良質な単結晶を得るために条件最適化を行った。従来、100um超のサイズを持つ単結晶を主に取り扱っていたが、今回これらサイズを縮小し、10-20umの結晶サイズを安定に育てる条件の探索を行った。結晶サイズが小さくなれば、X線の回折能が低下する。しかしこれら弱点は、X線照射強度の増強と、検出器の感度上昇によりカバーできる時代となってきた。
今回、結晶サイズをさらに15 μm程度まで小さくすることで、サンプル量を5 ngまで低下させることに成功した。これらX線の測定は、通常のラボ機で行っており、放射光などの極端な条件を用いなくても可能である。また結晶サイズの縮小は、サンプル量の減少以外にも様々な恩恵をもたらすことがわかった。すなわち、より迅速で均一なゲスト吸蔵が達成され、またゲスト吸蔵時の結晶劣化の抑制につながる。またこの研究の過程で行った結晶スポンジ作成法の最適化により、従来と比較してはるかに安定して「結晶スポンジ」が作製できるようになった。これら「結晶スポンジ」の作製の過程においても、結晶サイズの縮小は、ツインやひび割れの防止などに繋がり、結果として高品質なデータを得られるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトはおおむね順調に推移していると言える。 研究室側の状況が変化したため、当初の計画通りに「ポリヘテロ酸」骨格を用いた実験は、第一条件として取り組んでいない。しかし、代わりにより本質的な結晶作成部分に大きな進展がみられ、これらは日本化学会第95春季年会にて口頭発表も行った。近々論文も投稿する計画である。これら経緯から、おおむね順調に推移していると結論付けた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、より良質な単結晶回折データを得るための技術的・学術的な改善を試みる。これらを最適化する手法を確立することで、本研究課題の根幹となる単結晶X線回折の革新が期待できる。最終的には、確立した結晶解析法のバリエーションの一つとして、ヘテロポリ酸を骨格に含む単結晶の作成と解析を試みることも計画している。
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Research Products
(1 results)