2014 Fiscal Year Annual Research Report
地震時における傾斜地盤の液状化と崩壊予測およびそのメカニズム
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14F04056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清田 隆 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70431814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHIARO Gabriele 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 液状化 / 中空ねじりせん断試験 / 側方流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、傾斜地盤で発生する地震時の地盤の非排水挙動に起因する崩壊メカニズムについて、主に室内土質試験をベースに検討することである。これまで実験で用いた地盤試料は、2011年クライストチャーチ地震により液状化し側方流動が生じた地域で採取した地盤試料、および豊浦砂(過去の研究との関連性のため)である。本研究では、高さ30cm, 外径15cm, 内径9cmの中型中空円筒供試体を使用している。供試体の密度をDr= 50%程度に調整し、拘束圧100kPaまで圧密後、約100%以上のせん断ひずみを載荷、計測可能なねじりせん断試験機を用いて非排水繰り返し載荷試験を実施した。実験結果より、クライストチャーチ噴砂試料の大ひずみ時の液状化挙動について、豊浦砂のそれと比較して変形が生じにくくなる傾向があることが判った。また、両試料を用いて実施したSEMによる微視的観察結果より、クライストチャーチ試料の土粒子は、豊浦砂のものと比較してやや鋭角な形状を有することが判った。このため、クライストチャーチ試料は(豊浦砂と比較して)、インターロッキングが形成されやすい土粒子形状を有していたことが、実験結果に表れたものと考えられる。 更に本研究では、地盤の傾斜を意味する初期せん断の有無が、液状化挙動に及ぼす影響を検討した。実験結果より、実験試料の液状化と変形モードは、分担研究者が示してきた簡易的な液状化挙動の予測結果と整合する挙動となった。また、その手法は、1964年の新潟地震において生じた大規模な側方流動についても適応できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、中空ねじりせん断試験機の技術的な補修を行い、基準データを得る目的で豊浦砂を、またケーススタディを目的として原位置採取試料を用いた実験を相当数実施した。特に、いくつかの実験では非常に高い拘束圧で実施されており、液状化地盤の破壊モード予測手法開発に関して重要なデータとなっている。また、これらの新しい実験結果を用いて、液状化地盤の変形を記述する構成モデルの改良にも取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
一定の繰返し載荷(地震動)が緩い地盤に作用した場合、地盤の傾斜が大きい方がより不安定で、かつ液状化に伴う急激な崩壊を引き起こす傾向がある。一方、密な地盤では、液状化は発生し難くなるが、せん断破壊が引き起こされる可能性がある。このような異なる密度の地盤で構成される傾斜地盤の崩壊メカニズムを明確にするため、今年度に引き続いて実験データを蓄積していく。前年度では中密の試料を作成したため、本年度は相対密度25-30%程度の非常に緩い地盤、および75-80%の密な地盤を対象とした実験を行う。更に、傾斜地盤のせん断挙動に及ぼす拘束圧の影響についてもパラメトリックに検討し、ケーススタディを交えながら構成モデルの検証を行っていく。
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Research Products
(7 results)