2014 Fiscal Year Annual Research Report
アソーシエーション解析によるセイヨウナタネの窒素利用効率の遺伝子分析
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14F04076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西尾 剛 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30301039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Feng 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / アソーシエーション解析 / 窒素利用効率 / QTL / セイヨウナタネ / Brassica napus |
Outline of Annual Research Achievements |
セイヨウナタネにおける窒素利用効率は植物体の構造との強い関連があり、草丈が低く、莢がつける枝が多いタイプは窒素をはじめとする養分の利用効率と収穫係数が向上し、多収化が実現したため、中国農業科学院油料作物から提供されたナタネ遺伝資源の472系統における3年間の草丈と枝の数の形質データとそれら系統の遺伝子型データと合わせて、アソーシエーション解析を行った。その結果、草丈と枝の数に関するQTL領域をそれぞれ7つと5つ見出した。A3に検出された草丈と枝の数のQTLは効果が高く、複数年にわたって検出された。シロイヌナズナなどの植物の草丈と枝の数に関する遺伝的基礎の情報に基き、QTL領域にある候補遺伝子を推測した。以上の結果をまとめた論文を投稿した。 中国武漢の油糧作物研究所で調査した300系統の幼苗期における窒素吸収効率のデータを利用し、アソーシエーション解析し、2014年8月に公開されたセイヨウナタネのゲノム塩基配列を利用し、窒素吸収効率に関連するQTL領域にある候補遺伝子を推測した。低窒素下での乾物重に関連度が一番高いQTL領域にあるグルタミン合成酵素遺伝子GS2を候補遺伝子として注目し、系統間の塩基配列変異を明らかにした。以上の結果をまとめ、アメリカで行われたInternational Plant & Animal Genome XXIIIでポスター発表した。 300系統の中から174系統を選び、東北大学農学研究科で窒素吸収効率を評価した。現在はデータを整理しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の研究実施計画は主に2つであった。一つは同じ300系統を用いて再度窒素吸収効率の評価を行い、反復データを取り、アソーシエーション解析を行うことである。スペースに限りがあるため、300系統の中の174系統を選び、東北大学農学研究科で窒素吸収効率を評価した。現在はデータを整理しているところである。もう一つは候補遺伝子の変異を同定し、SNPマーカーを作成し、多数系統の遺伝子型分析を行うとともに、遺伝子発現解析を行うことである。26年度は低窒素下での乾物重に関連性が一番高いQTL領域にある候補遺伝子において、系統間の塩基配列変異を明らかにした。今はこの変異を検出するSNPマーカーを作成し、全系統の遺伝子型を分析しているところである。26年度の計画には書いていないが、ナタネにおける窒素利用効率に強い関連がある植物体の構造に関する形質のアソーシエーション解析を行い、結果をまとめ、論文を投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
窒素吸収効率を2反復で評価したが、植物体窒素の含量はまだ測ってないため、本年度は全部のサンプル(約2,800)の窒素の含量を測る。その結果をもとに、アソーシエーション解析を行い、前年度と同じように候補遺伝子を推定し、変異を同定し、多数系統の遺伝子型分析を行うとともに、遺伝子発現解析を行う。 また、グルタミン合成酵素遺伝子GS2について全系統の遺伝子型を分析し、発現解析を行い、窒素利用特性との関連を確認する。確認ができたら、その遺伝子を植物に導入し、高窒素利用効率に関わる候補遺伝子の機能を証明する。 得られた成果を取りまとめ、学会発表を行いもとに論文を書く。
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