2014 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスに対する植物の自己防御におけるポリアミンの役割の分子基盤
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14F04081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
草野 友延 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (40186383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAGOR G.h.m. 東北大学, 生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 植物 / バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
外生のスペルミン処理をしたシロイヌナズナで、小胞体ストレス応答反応の鍵因子の一つであることが報告されているbZIP60の発現が高まることを見出していた。小胞体ストレス応答反応の鍵因子としてはbZIP17とbZIP28も知られていたことから、これらの遺伝子の発現、さらには3つのbZIPタンパクの下流遺伝子群の発現解析を行い、スペルミンが新たな小胞体ストレス応答反応を誘導する活性を持つことを明らかにした。また、活性型bZIP60タンパク質の下流に位置すると考えられたBinding protein 3 (BiP3)遺伝子のcDNAのサイズが典型的な小胞体ストレス誘導剤のcDNAサイズと異なることを見出した。この点の生理学的意義を解析しようとしている。 ポリアミン代謝系に欠損をもつ種々の変異体シロイヌナズナ植物の種々の化合物への反応を調査する中で、スペルミン合成酵素遺伝子欠損株はカダベリンに耐性となり、一方ポリアミン酸化酵素4遺伝子は感受性となることを見出した。この現象の背景には内在するスペルミン含量が密接に関与することを明らかにした。この点についてもさらに解析を進める予定である。 シロイヌナズナのポリアミン酸化酵素5遺伝子とイネのポリアミン酸化酵素1遺伝子がサーモスペルミン特異的な酸化酵素であることを明らかにし論文発表を行った。 ポリアミン代謝系の過剰発現植物あるいは欠損変異体を用いて非生物的ストレス応答性を調査した。この点については、これまでに見出している現象の再確認を行い、分子機構の解析を目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
小胞体ストレス応答反応を誘導する活性がスペルミンにあることを見出すことが出来た。スペルミンが持つ環境ストレスへの防御能力の分子基盤の一端は、スペルミンによる小胞体ストレス誘導活性によって説明できることを明らかにした。 ポリアミン代謝系の変異体群をもちいてのカタベリン反応性からは、新たな輸送体の関与がわかってきており、この点も新規な知見である。 植物におけるサーモスペルミン酸化酵素の同定も独自な知見であり、目的達成度は高いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリアミンが小胞体ストレス応答反応を誘導する活性があることについては、2つの論文にまとめていきたいと考えている。カタベリン反応性から見出された輸送体については、当該輸送体遺伝子の発現が高い植物のほうがカタベリンに対する耐性が高いことを明らかにしているのでこの分子機構を解明していきたいと考えている。 ポリアミン分解系遺伝子の欠損株が示した環境ストレス耐性についても、耐性に関与すると考えられる複数の遺伝子群の発現が高いことを明らかにしたが、なぜ両者が結びつくのかが未解明である。この点を明らかにしたい。
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Research Products
(7 results)