2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロサイモシンαとそのペプチドの神経保護と神経新生のトランスレーショナルリサーチ
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14F04096
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
植田 弘師 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (00145674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HALDER SEBOK 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | プロサイモシン / 神経新生 / マウス成熟脳 / 海馬歯状回 / 脳虚血ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
プロサイモシンαは脳損傷や飢餓ストレス時に神経細胞から放出され、ネクローシス性の神経細胞死を抑制し、脳内においては神経栄養因子等の産生を介してアポトーシスも抑制する。特に後者の機構にはミクログリアと神経細胞とのコミュニティー間の機能制御が関与する事が明らかになっているが、その一つに脳内の免疫機構としてのミクログリア機能を介する保護機構が推定できた。関連する重要な知見は網膜虚血におけるプロサイモシンαのプレコンディショニングが次に来る虚血障害を抑制するという事実で有り、その機構に自然免疫受容体TLR4とその下流のTRIF機構が関与する事を、遺伝子欠損マウスを用いて証明できた(J Neurochem 135, 1161-1177, 2015)。これとは別に、虚血後の投与によっても著明な保護効果が観察されるが、そのメカニズムはTLR4とは異なることを見出している。プロサイモシンαはタンパク性なので創薬のテーマとして相応しくないため、トリミングして最終的に6アミノ酸に絞り込み、さらに部分アミノ酸の改変により全身投与でも有効な脳卒中治療ペプチド創薬を確立することができた(Neuroscience 318, 206-218, 2016)。現在、このペプチドの有効性をさらに広げるために新たな効能の探索を行い、PK試験などの研究も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果は2つの論文(J Neurochem 135, 1161-1177, 2015)と(Neuroscience 318, 206-218, 2016)に掲載済みで有り、そのほかさらに進展した論文を数点執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスレーショナルリサーチとして新たな有効性を探索する戦略としてすでに確立している脳領域特異的なプロサイモシンα遺伝子欠損マウスの活用を検討している。これにより、欠損により表現される行動、組織化学的変化を指標とし、そのレスキューが可能であるか否かという視点から、新たな機能性探索を含めたペプチド創薬の展開を検討している。
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Research Products
(5 results)