2015 Fiscal Year Annual Research Report
言語拡散及び言語変化のメカニズムに関する日中対照研究
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14F04305
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩田 礼 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (10142358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI JUNG-MIN 金沢大学, 歴史言語文化学系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 中国 / 方言 / 言語伝播 / 言語変化 / 日中対照 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究テーマ「言語拡散及び言語変化のメカニズムに関する日中対照研究」をめぐって、外国人特別研究員(李仲民)と受け入れ研究者(岩田礼)が共同研究を展開した。2015年度(第二年度)は下記の研究を展開した。 1)外国人特別研究員は8月に広東東部の韓江、榕江流域で調査活動を展開し、多くの有意義な発見をもたらした。調査データは受け入れ研究者とともに分析し、2篇の論文にまとめた。それらは現在、日本と台湾の学術誌に投稿中である。 2)富山県の庄川、神通川流域を対象とした日本語方言調査を実施した。但し調査は効率を欠き、データ量は当初の予定を下回った。 3)11月には受け入れ研究者と外国人特別研究員が協力して、東アジア地域の言語地理学研究をテーマとした国際シンポジウムを開催した(中国、台湾、マカオ等から登壇発表者10名)。本シンポジウムは金沢大学・富山大学共催の形式を取り、本研究課題に関する成果は外国人特別研究員が発表した。 これらの調査・研究によって河川沿いの伝播はどのように進むかという方言伝播のメカニズムについて、中国と日本の共通性と差異を地理情報や社会史を考慮しながら明らかにした。このほか、国立国語研究所・大西拓一郎教授の共同研究「河川と方言」への参画を通じて、言語的中核地(Kernlandschaft)の役割と変遷、「方言周圏論」と「隣接分布の原則」の再検討、語彙変化のメカニズムの解明、文化特徴と方言分布の関連等の課題に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 日本と中国でそれぞれ実施を予定した方言調査のうち、中国・広東東部・韓江、榕江流域での調査は順調に遂行し、多くの知見を得た。一方、富山県庄川、神通川流域を対象とした日本語方言調査は、外国人特別研究員の日本語運用能力が十分向上しなかったため、既刊の方言調査報告を超える知見を収集することができなかった。 2. 一方、外国人特別研究員の日本語読解能力はかなり向上したため、受け入れ研究者との読書会を通じて、日本の研究の成果を吸収し、それを論文執筆に生かすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
外国人特別研究員と受け入れ研究者の共同研究期間が残り約半年となったことを踏まえ、研究のまとめと公表に集中する。外国人特別研究員は来日以来収集した方言データに基づいて方言地図とグロットグラムの作成を進める。受け入れ研究者は、それらの資料を日本語方言に関する地図やグロットグラムと比較・検討することを通じて、どのような環境(地理、社会、歴史等を含む)がどのような変化の類型を形成するかについて、理論的な総括を行う。それらは7月に北京で開催される国際会議(International conference of Chinese Linguistics)などで公表する。
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Research Products
(5 results)