2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14F04313
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 正広 一橋大学, 経済研究所, 教授 (80178772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN PEI-HSIN 一橋大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 業務統計 / 公務統計 / 主計制度 / 台湾総督府 / 国民政府 / 統計調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の問題意識は、台湾総督府の統計システムの構造、並びにそれが戦後中国国民党政府の統計システムに与えた影響に関するものである。戦後台湾の統計システムの構想を究明するなら、中国の統計システムに対する理解が不可欠である。そのため、2015年7月に、「南京国民政府の統計組織とその特徴」を一橋大学経済研究所のディスカッションペーパーとして発表した。さらに、戦後初期、1945-1949年間に、国民政府が台湾で実施した統計について、2016年2月に、「戦後台湾国民政府による業務統計システムの接収とその再建(1945-1949) 」を執筆した。また、2015年11月15日に、経済史・政治外交史研究会主催のシンポジウム「戦間期における日本の対アジア・太平洋関係」に参加し、「南進政策下台湾総督府外事課の復活とその役割」という論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2015年の5月28日―6月17日、および9月25日―10月13日、台湾に2回出張し、台湾の経済史研究者と交流した外、中国国民党文化傳播委員会党史館、主計総處中部弁公室、国立台湾図書館、国家管理委員会国家档案管理局、政治大学図書館などの台湾で重要な文書所蔵機関に行って資料を集めた。その過程で、戦前における南京国民政府の統計機関、および台湾植民地期の統計の接収に関する大量の文書や文献を入手した。それらによって、「南京国民政府の統計組織とその特徴」、および「戦後台湾国民政府による業務統計システムの接収とその再建(1945-1949) 」の2点の論文を書き上げた。2015年中に入手した資料は、非常に内容に富むものなので、上記論文2点の他にも1-2点の論文を執筆できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年2月にディスカッションペーパーとして公表した「戦後台湾国民政府による業務統計システムの接収とその再建(1945-1949)」を、中国語に翻訳し、「視線的轉換:國民政府在臺灣的業務統計體系接收與重建(1945-1949)」というタイトルで、中興大学歴史学科が刊行する『興大歴史学報』に投稿する予定である。当雑誌は台湾の科技部に認証された権威のある査読付きの歴史学の雑誌なので、投稿の過程で、審査委員のアドバイスをもらい、論文を一層深化させたいと期待する。 つぎに、今までの台湾出張で入手した資料を整理し、それらによって、3本目の論文を執筆する。これは、「戦後における台湾「中華民国台*(「門構え」に「虫」)地区戸口普査」の実施」というタイトルの予定である。内容は、1957年に国民政府が台湾で実施した最初の人口センサスを例に、植民地期の人口統計が国民政府に影響を与えた枠組みを究明するものである。当論文は7月に終わらせる予定である。 さらに、研究分担者は2016年から、中央研究院台湾史研究所が主催する「台湾および韓国比較経済史」研究会に参加するので、これから一橋大学経済研究所社会科学統計情報研究センターが所蔵する『家計調査報告』および『昭和14年臨時国勢調査結果』の資料を利用し、植民時期における台湾社会の消費生活、および商品の流通をテーマとして研究することとする。その成果をもって、台湾経済史研究者たちと交流することで、研究の視野を広げることができると期待する。また2016年末に、韓国で開催されるシンポジウムにおいてこの研究成果を発表する予定である。
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Research Products
(5 results)