2014 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルデッカー型発光性白金(II)錯体フレームワークの構築とクロミック応答性
Project/Area Number |
14F04336
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昌子 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80214401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAR Paramita 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 白金錯体 / ツビッターイオン / キノノイド型配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、集積発光性白金錯体の高機能化を目指し、従来系で特徴とする積層による金属間の直接的な電子的相互作用に加えて、配位子を介する相互作用も可能なダブルデッカー型発光性白金(II)錯体フレームワークの構築を目指している。この目的のために、ベンゾキノンジイミン誘導体等、ノンイノセント型共役系架橋配位子として機能するキノノイド型配位子を用いて白金複核錯体を連結した新規系の構築を試みる。これにより、光誘起レドックス応答能や外部刺激としての蒸気分子との相互作用による電荷移動相互作用が期待でき、特に、電子受容性芳香族分子に対して鋭敏なクロミック応答性を示すことが期待される。平成26年度は、研究分担者である特別研究員の研究従事期間が5か月間であり、種々の準備やトライアルに時間を要したが、その中で、2つの独立した非局在6π電子系を包含する興味深いツビッターイオン型配位子を用いて、新規ジイミン白金(II)錯体の合成に成功した。構造解析の結果、単核錯体であることが明らかになったが、結晶中では2つの錯体ユニットが短い白金間距離(3.45 Å)で集積した二量体を形成していることが見いだされた。この錯体を出発錯体として、今後、ツビッターイオンにより架橋された二量体を構築し、さらに二量体を架橋配位子により積層させたダブルデッカー型錯体の構築に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
白金(II)イオンは、同族のパラジウム(II)イオンやニッケル(II)イオンに比べて、ツビッターイオン配位子に対する親和性は弱く、錯体合成に難航した。付属の配位子に安定なキレート配位子である2,2'-ビピリジンおよびその誘導体を用い、原料錯体より含まれる塩化物イオンは銀イオンを用いて引き抜くことにより白金(II)単核錯体の合成に成功した。しかし、架橋複核化、および、ダブルデッカー形成に関してはまだ模索段階にある。合成錯体のX線構造解析は必須であるが、試料の結晶性があまり良くないため、結晶化にも時間を要している。従来の系にとらわれずに、溶媒、対イオン等を幅広く探索することが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
合成に成功したツビッターイオンを含む白金(II)単核錯体の基本物性を明らかにしつつ、この錯体を出発錯体として、ツビッターイオンにより架橋された二量体を構築し、さらに二量体を架橋配位子により積層させたダブルデッカー型錯体の構築に取り組む。このために、2つ目の金属イオンとして、白金イオンが反応性が悪いようであれば、パラジウムイオンやニッケル(II)イオンを用いて、混合金属錯体の構築を試みるのも有効と考えられる。また、ツビッターイオンについても、t-ブチル基等の嵩高い置換基を導入した系を用いて錯体の構築を試行し、結晶化や安定性の向上を目指す。また、得られた錯体については、物性測定として、発光特性、電気化学特性を調べ、特徴を構造と関連付けて明らかにする。 平成26年度は研究開始も間もないため学会発表を行えなかったが、今後は得られた研究成果について積極的に学会発表を行い、今年度中に論文も公表できるように研究を推進する。
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