2014 Fiscal Year Annual Research Report
配位高分子と酸化物からなる階層的多孔性薄膜の開発と応用
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14F04340
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 宏 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90234244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAI Zhengfei 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 金属錯体化学 / 無機固体化学 / ナノ化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ミクロ/ナノ構造をもつ酸化物の多孔性薄膜多孔性酸化物薄膜と多孔性配位高分子(MOF)の薄膜を組み合わせることにより、階層的多孔性構造をもつ多層薄膜を創成することを目的としている。MOFの選択的ガス吸着特性を利用することによる高い選択性と、多孔性酸化物薄膜のもつ高感度・迅速応答を融合することにより、高選択性、高感度、迅速応答という優れた機能性を同時に併せ持つ、従来に無い全く新しい複合型マイクロセンサーの創成を目指す。 初年度となるH26年度においては、溶液の液面上にMOFの単層膜を生成することに注力した。種々の溶液中合成により生成させたMOFを液面上に展開し、それをガラス基板に写し取ることによりMOF薄膜試料を複数種作成した。薄膜X線回折測定の結果、HKUST-1 (Cu2(btc)3 btc: ベンゼントリカルボン酸)薄膜については(111)配向性を有することが見出されたが、その他のMOF薄膜については結晶性を有するものの、顕著な配向性を見出すには至らなかった。初年度はさらにMOF薄膜を使用したハイブリッド型のFETデバイスの応用を考え、有機電子ドナー/アクセプター分子を導入させることによる電子伝導性のMOF作成にも取り組んだ。種々の有機分子に対するHKUST-1バルク粉末の包接挙動について検討したところ、TTF (テトラチアフルバレン)、TCNQ (テトラシアノキノジメタン)を用いた場合、包接に伴う粉末X線回折パターンの変化及び顕著な色の変化が見られた。包接後の電子状態の変化や伝導性について今後検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は種々のMOF薄膜を作成することに成功し、そのうち一つは今後のハイブリッド薄膜の作成に重要と考えられる結晶配向性を有していることも明らかにできた。さらにHKUST-1型のMOFに電子ドナー/アクセプター分子の導入することにも成功した。この結果は今後のハイブリッド薄膜を用いたデバイス作成にとって非常に重要な成果であり、以上の結果から期待以上に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となるH27年度は、MOF薄膜の作成に引き続き注力する。X線回折から結晶性や配向性について検討した後、コロイド結晶のテンプレートから作成した薄膜基盤の上に移しとり、ハイブリッド薄膜を作成することを目指す。得られたハイブリッド薄膜についてその結晶構造(ヘテロ構造)や物性について明らかにしていく。
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Research Products
(2 results)