2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子ダイナミクス研究に基づくイオン液体中における光アップコンバージョン機構の解明
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14F04365
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 陽一 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (80526442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAS Sudhir 東京工業大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 光アップコンバージョン / 太陽光有効利用 / 分子ダイナミクス / イオン液体 / マイクロ熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,様々な太陽光エネルギー変換系において現在未利用な光スペクトル部分を利用可能にする光アップコンバージョン(UC)に関し,その効率を支配するメカニズムの検証と理解を目的としている.研究代表者はこれまでこの点に関し仮説を提案しており,その検証に試料中における有機分子の回転ダイナミクスの研究・検証が必要となっている.本研究は,当該実験手法に精通した外国人特別研究員のDas氏(以下「特別研究員」)と共同し,まず本研究目的の達成に適するUC試料の開発と実験システムの構築を行い,それらを基盤として上記目的の達成を狙うものである.
初年度である本年度の内容と実績は以下の通りである. 11月12日に特別研究員が着任した.その直後から,イオン液体を用いたUC試料の作製方法および試料の基礎的キャラクタリゼーション方法の教授を行い,年度内に習熟に至った.これと並行し,特別研究員と議論を重ね,UCを実施可能な有機分子について,その溶媒であるイオン液体との相互作用の(UC発光強度や分子ダイナミクスを含む)結果への影響を検証可能な分子種の探索を行い,修飾基のみが異なる一対の有機分子種を選定した.そして,それらの有機分子を用いてUC試料作製を行い,そのキャラクタリゼーションから,それらが,光吸収スペクトルとUC発光スペクトルが両者間でほぼ同一という,良好な比較対照分子であることを見出した.また本年度は,特別研究員との密接な議論から,本研究の目的に適する計測試料として,イオン液体以外の流体媒体の探索に着手し,その発明に成功するなど,計測試料の開発において有意義な成果を挙げた. さらに,本研究の目的達成に必要となる「分子回転ダイナミクス計測システム」の構築を進め,ほぼ完成の状態に至ることができた.また,その運用に必要となる備品「ターボ分子ポンプ排気システム」(H26年度交付申請書に記載)を導入した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年11月の当該特別研究員の研究期間の開始以来,非常に熱心かつスピード感をもって本研究課題に取り組んでおり,上記「研究実績の概要」に記載の通り,順調かつ着実に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
主に以下の2点を今後の推進方策としている.
【1】 本研究の目的達成に必要な分子回転ダイナミクス計測システムの本格的運用開始に向け,本計測システムの仕上げと最終調整を次年度(H27年度)早々に実施すること.
【2】 本課題の研究に適した計測試料の探索/開発を引き続き追求すること.具体的に以下2つの方策が考えられる.(i) 分子回転ダイナミクスを支配する要因である「溶媒-溶質相互作用」を制御できる(すなわちこの相互作用のみが異なり,従ってその分子ダイナミクスへの影響を比較可能な)試料の探索/開発をさらに進めること. (ii) 研究代表者がこれまで使用してきたイオン液体に限らず,本研究の目的に適する計測試料として,その他の流体媒体についても検討対象に含めた探索をさらに実施すること.
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Research Products
(1 results)