2014 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動影響下のベトナムにおける洪水リスク評価のための統合的アプローチの開発
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14F04373
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花木 啓祐 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00134015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PHAM Giang 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 気候変動 / ベトナム / 洪水 / GCM / 水文モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ベトナムにおいて将来の気候変動の影響が深刻な影響をもたらす分野を検討すると共に、利用可能なモデルとデータを考慮しつつ、基本的な解析の枠組みを決定することに力を注いだ。当初、2006年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次報告書までに用いられてきた気候変動の予測に基づいてベトナムにおける洪水予測をおこなう事を検討した。気候変動の予測モデルであるGCMは世界中の多くの研究所などで開発されているが、将来予測に関するその計算結果はモデルによって相当に異なる。とりわけ、特定の地域に対する将来の降水量の予測、また洪水をもたらすような極端な値についてはその推測が困難である。多くの既往研究と利用可能なモデルを網羅的に検討した結果、IPCCの第5次報告書で新たに用いられているCRPと呼ばれる将来のシナリオ群に基づく最新の気象モデルの計算結果をまとめて提供するSimCLIM 2013と呼ばれるアプリケーションが有用であることが判明した。これは、対象地域に対して、最近の将来シナリオに基づく多種の大循環モデル(GCM)の出力結果を個別あるいは、平均的な値として与えるものである。これを用いれば、より先進的な気象モデルの計算結果を洪水予測に適用することができ、研究内容を一段と発展させる事が可能になる。 GCMの出力を対象地域の洪水予測に用いるためには水文モデルを適用することが必要になる。これらのモデルを利用することを前提にし、現地調査を行い、利用可能なデータを収集した。そのために必要な洪水予測に必要な現地の地理情報と過去の洪水時を含む気象観測データの利用可能性を調査し、入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初利用を想定していたのは気候変動に関する一世代前のモデル計算結果であったが、最新の将来シナリオに基づく、複数のモデルによる計算結果を用いることができるようになった。その一方で、その方法を確定してからデータの収集と購入を行うことにしたため、一部計画を27年度に繰り越して実施した。しかし、並行して他の検討事項を進めたため、後年度への遅れの影響はなく、全体としては進捗状況は良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した現地のデータに基づいて、対象地域における水文モデルを構築し、将来の気候変動下における洪水の発生を定量的に評価し、とりわけ農業に対する影響を予測する予定である。
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